第9話 初めの弟子
結局、俺はロレンス、ロラン、ローラの三人を教える事になる。
どうやらローラはロレンスの子供だったようでローラを教えると伝えた時には目を丸くして驚かれていた。
ローラは人見知りが激しく、知らない人の前に出ることはなかったのだが、自分で話しかけたこと、そして、基礎体力が既についていることにロレンス、ロラン共に驚いていた。
「せんせい、ローラを見て。」
俺はローラに自分の剣技を教えていく。
ロレンスとロランは既に型が出来ており、それを伸ばす方針を取ったが、
ローラは誰からも剣を教わった事が無かったので、一応選択の中に俺の剣技を入れたら、俺の剣技を学びたいとの事だったので教える事にした。
ローラは剣の才能が合ったようでみるみる技術を身につけていく。
目に見えて強くなる娘や妹を悔しそうに指を咥えて見ている親子が邪魔であったが、それが仕方ないと思う程に才能があった。
しかし、それを伸ばしきる時間が俺には無かった。
ロレンスの屋敷に着いてから一ヶ月、マリアの帰国が決まる。
「せんせい、帰っちゃやだ。」
「ごめんねローラ、マリア様を守って帰国しないといけないんだ。」
「でも・・・なら、私もいく!」
ローラは着いてこようとするが、それは流石にロレンスに止められる。
「ローラ、これはこれからの訓練方法と剣の型を書いた教科書だよ。
次に合うまでにしっかり覚えて俺を抜く剣士を目指すのだよ。」
「せんせい、これって私の為に書いてくれたの?」
「そうだよ、始めて出来た俺の弟子の為に書いたんだ、受け取ってくれるかな?」
「うん!せんせいの初めては私の物だよ。
ありがとう、せんせい。」
ローラは別れを惜しみ、抱きついて泣いていた。
それから暫くして、迎えの馬車が来たので俺とマリアは馬車に乗り込み、ロレンス邸を後にする。
ロレンス、ロラン、ローラの三人だけでなく屋敷にいた全ての人に見送られていた。
ロレンス邸を出てから、マリアが話しかけてくる。
「タツマさん、良かったのですか?私の護衛より、ロレンス邸にいた方が、その出世出来たのでは?」
「そうだな~でも、約束だからな、ちゃんと帰るまでが仕事だ。
それより報酬はしっかりくれよ。」
「もちろんですよ、楽しみにしていて下さいね。」
俺達はトリスタン王国、王都ウォールに向かうのであった。
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