第6話 宿泊
俺達は宿に戻る。
「楽しかったです!」
「それは良かったよ。でも明日は山越えだから頑張ってくれよ。」
「はい!気力充分です!」
ここにきてマリアは部屋が1部屋ということに気付く。
「あ、あの、もしかしてタツマさんも同じ部屋に泊まるのですか?」
「まあ、夫婦という設定だからな、二部屋借りたら怪しまれる。」
タツマにしてはここ数日野営もして二人で泊まっているのだから今更な気持ちであったし、ベッドはちゃんと二つあるツインルームだ、問題があると思っていなかった。
「あ、あの、こういう事は結婚してから・・・あれ?夫婦だからいいのかな?かな?」
マリアはパニックから訳のわからないことを言っている。
「何でもいいから、ゆっくり休め。明日が辛くなるぞ。」
俺がベッドに行くように促すと・・・
「ふつつか者でしゅが、優しくしてくだしゃい・・・」
顔を赤くしながら、カミカミで的はずれな事を言っていた。
俺はマリアの頭にチョップをくわえる。
「子供が背伸びするんじゃない、何もしないから大人しく寝ろ。」
「痛いです・・・それに子供じゃないです!」
「そうやってムキなる所が子供なんだ、それに明日山越えなのに疲れる真似が出来るか。」
「疲れるのですか・・・」
「ああ、そうだ。」
「私に魅力がないとかじゃ・・・」
「魅力ねぇ・・・うん、可愛いとは思うぞ。」
「可愛い、ねぇ、今、可愛いと言いましたか!」
「あー何でもない、さっさと寝よう。」
俺は布団を頭からかぶり寝ようとする。
「むうー、もっとお話に付き合ってくれてもいいんじゃないかな?かな?」
マリアは布団の上から纏わりつくように話しかけてきていたが・・・
俺はそのまま寝てしまった。
翌朝、俺が目を覚ますと目の前にマリアの顔があった。
「へっ?なんで?」
俺は事態がわからないが現状を把握しようとする。
目の前のマリアはいい匂いがする。
違うそんな事を把握するんじゃない!
マリアは俺を両手で抱き締めている。
腕ごと抱き締められているために腕も動かせない、指先ぐらいは動かせるが・・・
俺は少し指先を動かすが布の感触が伝わってくる。
「・・・あっ、あん」
目の前のマリアが喘ぐ。
・・・なるほど、危険エリアですか
俺の背中に冷や汗が流れる。
どうやら指先はマリアの足の付け根辺りにあるようだ。
「タツマさん・・・」
俺の名前を呼んだので起きたのかと思ったが、どうやら寝言だったようだ、
しかし、マリアは更に俺を抱き締める。
おかげで大きくない胸が俺に当たり潰れている。
ふむ、思ったよりはあるのか?
・・・って、違う、落ち着け!
何を考えている!
俺は落ち着く為に一旦深呼吸をする。
この状況で目を覚まされると非常に不味い。
さて、どうしたものか・・・
悩む俺にマリアの顔が近付いてくる。
えっ、やばいだろ!ちょっと待てよ!
マリアの口が俺の口に当たりそうになる瞬間、マリアの目が開いた!
「お、おはよう、マリアさん。」
「おはようごじゃいます・・・たちゅまさん・・・」
どうやら、マリアはまだ寝ぼけているようだった。
「マリアさん、ちょっと離してもらえますか?」
「たちゅまさんの匂いがする~」
マリアは俺をギュット抱き締める。
「じゃなくて、離してもらえますか?」
「たちゅまさん・・・」
マリアは俺の話を聞いてるのか、理解してないのか離してくれない。
そして・・・
チュッ!
マリアはとろーんとした目をしながら俺にキスをした。
「・・・へっ、あっ、あれ、私、今何をしたのかな?」
キスをしたあと、どうやら目を覚ましたようだ、しかし、目を覚ましたが代わりに混乱もしたみたいだった。
「マリアさん?起きたなら離してもらえると助かるかな?」
俺はマリアに離すようにお願いすると。
「ご、ご、ごめんなさい!今離れます!」
マリアは慌てて離れてくれた。
「ありがとう。」
ひとまず解放されたのでお礼を言うと。
「ごめんなさい、私寝ぼけてタツマさんを抱き締めてしまっていたんですね。」
「まあ、そういうことなのかな?
まあ、気にしないで。」
「あうう、恥ずかしいです。」
マリアは顔を真っ赤に染めて、恥ずかしがる。
マリアが回復して動けるようになるまで少し時間がかかるのであった・・・
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