第16話 就職
「王様?大丈夫ですか?」
一撃を喰らったとはいえ、胴体への横凪が軽く当たっただけだからケガはしてないと思うのだが、俺は様子を伺う。
「今のはなんだ?」
「へっ?」
「お前がマイに何を教えたか聞いているのだ!」
「お父様、タツマさんは私の知らない事を教えてくれましたよ。」
「マイ、それは何なんだ、お父さんに教えてくれないか?」
「えーと、タツマさんのを・・・私に入れてもらって、身体を強くして貰ったんです。」
「・・・」
ノブヒデは言葉が出ない、年端もいかないマイにこの男は入れただと!
厳しい視線が俺に向く。
俺は慌てて訂正を入れる。
「王様!気の話です。変な事ではありません!」
「き?気とはなんだ?」
俺は1から説明する。
「つまり、病気の治療の一環で行った事がマイの身体を鍛える事になったと。」
「はい、その後、剣術も少し教えましたが、あの速さは気の扱いを覚えた事ですね。」
「ふむ、それは誰でも出来る事なのか?」
「師匠の話だと、コツさえ得れれば多少なりは誰でも出来るそうですが、俺自身が教えたのは初めてですから、実際にどうかはわかりません。」
「どうだろう、我が国の兵に教えてもらう事は出来ぬか?」
「構いませんが、出来るかはわかりませんよ。」
「なに、試すだけでもよいのだ、マイが此処までになるのだからな、何人かでも、覚える事が出来れば我が国は強くなろう。」
「わかりました、お引き受け致します。」
俺はこの国で就職することになった。
「うむ、では、近いうちに王都に来てもらえるか?」
「お父様!タツマさんが王都に行くなら、私も一緒に帰ります!」
「しかし、病気は本当に大丈夫なのか?」
ノブヒデは不安そうに聞いてくる。
「それは大丈夫です、原因は完全に治しましたから。」
俺はノブヒデに答える。
「そうか!ならば一緒に帰ってくるがよい。
タツマよ、屋敷は用意しておく、マイを頼むぞ。」
「はい、屋敷を賜る恩情に感謝致します。」
俺は深く頭を下げる。
「かまわん!いや、めでたい!」
ノブヒデはその日のうちに城に戻って行った。
俺とマイは、マイの帰宅準備が終えてからの帰宅となる。
まあ、屋敷の準備とかいっていたので、あまり早く帰ると準備が出来ずノブヒデの顔を潰す事になるので、帰宅は二週間後となった。
「タツマさん!私の事はマイと呼んでくださいとあれ程言ったのになんで言ってくれないのですか!」
俺はノブヒデが帰った後、マイに説教されていた。
「いや、王女様を呼び捨てには出来ないだろ?」
「王女である前に私はタツマさんの弟子なんですよ!」
「それでもマズイだろ?せめて人前だけは勘弁してくれないか?」
「いやです。」
「そこを何とか!」
「いやです。もし、呼んでくれないなら私の裸を見たって言いふらしますからね!」
「いや、それのダメージはマイさんの方では?」
「タツマさんもダメージがあるでしょ?さあ、どっちにしますか?」
俺はマイの力を押しに屈する事となった・・・
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