第2話
一目見たその時、天使だと思った。
あれは中学2年の時、星花祭での合唱部の発表会でのこと。
今よりはだいぶ幼い印象だったけど、自慢の長い黒髪を揺らし、伸びやかな歌声を響かせる……そんな
それから
宮子が使っているシャンプーと、ボディソープを調べ上げ、ネットで同じものを取り寄せて、同じ匂いに包まれて。
何が好きなのか、どんな日用品を使っているか知りたくて、風紀委員にもなった。合法的に、鞄の中をチェックできると思ったから。
端的に言って、ストーキングしていた。
それだけに、宮子を追っかけて見てしまった、女性同士のえっちシーンは、あまりにショッキングで。
以来すっかり、そういう話題が大の苦手になってしまった。
「……火蔵さん。なんで、ついてくるのです?」
その元凶が、隣でニコニコしながら、風紀委員の見回りに付いてくる。
学園の、旧校舎に近い花壇の周り。ふわっと、宮子から甘い薫りが漂う。
「ふふ。この前の話の、続きよ」
「……お断りしたはずですが?」
静流の言う「清い恋愛」を、教えて見せてくれないかという。
宮子の提案を、静流は「まっぴら御免ですわ」と一蹴したのだが。
「だから、雪川さんのお手伝いをしようと思って。ほら、風紀委員のルールに有るでしょう。要注意人物を更生させたら、ご褒美くださるって」
うぐ、と声を詰まらせる静流。他でもない彼女が、先代の委員長に働きかけて定めたルールだ。
問題児を改心させたら、危険度に応じて、食券とか、マッサージ券とか贈呈。
危険度MAXのS級指名手配者に、問題行動を止めさせた場合は……。
「風紀委員が、なんでもお願いを聞いて下さるのよね?」
「えっちなお願いは、聞きませんからね?」
だいたい、目の前の宮子こそ、
「あら。他の子の問題行動を止めさせたら、誰にでもご褒美はくださるのでしょう? 風紀委員にマークされてるからダメとか、そんなルールは無かったはずよ」
……今さらながら、自分が決めたルールの、不備を呪う静流。
宮子が肩を寄せてくるたびに、警笛を唇に、威嚇しつつ見回りしていると。
「だ、誰か、ほどいてぇっ!? 縄が、カラダにぃ……っ」
なんかわざとらしい悲鳴が聞こえるけど、つい静流は反射的に、助けに行ってしまう。花壇の側で、見たものは。
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!? ま、また貴女ですか
縄跳びの縄に絡まって、スカートがめくれ……おぱんつ丸出しの状態で転がっている、ツインテールの女の子。
おフランスみの有る丁寧な刺繍の、白のパンツを丸っと目撃して。
静流の唇から、縄に絡まった側の10倍の悲鳴が、飛び出した。
※ ※ ※
【後書き】
今回新登場のゲストキャラ
・
斉藤なめたけ様作「純情チラリズム」登場。「小説家になろう」にて、完結。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます