第27話
また別の大広間「龍の間」では、毎年恒例のカラオケ大会が、開催中。
伝統的に高等部1年の主催で行われる、この大会。
1組のイマドキ少女、二宮
「やっぱり皆のヒーローなんだし、ここはヒーローソング一択でしょ!」
「いや、二宮さん? そんな安直な」
と言いつつ日色、いざマイクを渡されると、人気特撮番組「仮面セイバー・ゼロワン」の主題歌を、熱唱してみせるのだった。
「1組は元気だなぁ……」
「そう、1組にばかり負けてはいられませんわ! 塩瀬さん、わたくしたちも歌いますわよ!」
2組の学級委員長、お嬢様の
晶にもマイクを押し付け、高笑いしつつ、
「曲は……『下剋上デュアリズム』ですわ!!」
日色が歌った特撮主題歌と同じ歌手が、アイドル声優とタッグで、年末の歌番組でも歌った人気の曲だ。
「ええー、ボク、人前で歌うのは……!?」
恥ずかしそうにしながらも、美香の強引なペースに引っ張られ、男声パートを歌う晶。
「「♪ そして 君は
晶と美香のデュエットを、3組グループの席から、写真部仲間の猫山美月がカメラに収める。
「撮ったよー」
「う、写さないでよ、もー!?」
真っ赤になって顔を隠す晶を、園芸部のお母さん的な女の子、白石
「あらあら、照れなくてもいいですのに。とっても、上手でしたよ。ね、
結の隣に座るのは、クラスメートで、園芸部でも一緒の川蝉弥斗。
羞じらいながら、
「え、ええ。すごく……素敵でした。あの、晶さん。次は、私と……」
「……うん。ボクで良ければ、喜んで」
2人の関係を知る猫山さんと白石さんが、キャーキャー盛り上がる中、しっとりとしたラブソングを。
カラオケ大会は、大盛況だ。
「うーん、盛り上がってるなぁ。ね、ユミリン」
カラオケ大好きということで、運営を買って出た二宮
けど、相方の夢宮
「でもさ、ヒサギン? ゆりりんとか、合唱部の
「確かに……」
現役アイドル歌手の、ゆりりんこと美滝百合葉に、合唱部のエース、火蔵宮子。
他にも、いれば分かるレベルの存在感を誇る生徒たちの、姿が見えない。
カラオケ大会は自由参加だし、浜辺でキャンプファイヤーしたり、ゆったり露天風呂にプカプカ浮いてる生徒も、結構な数いるけれど。
主催者としては、豪華メンバーを揃えたくなるわけで。
百合葉や宮子を探しに行こうかと、考える
「ゆりりんなら見たよー。柳橋さんと一緒に、桶屋さんを引っ張っていったの」
「へえ、そうなんだ」
そういえば、と
彼女も、北川かおりや桶屋春泥と同じく、美術部員。
クラスメートの柳橋美綺から、漫画部の手伝いしないか誘われた。
(私は、今年のカラオケ大会の企画側だから、断っちゃったけど)
「火蔵先輩も、漫研のエヴァ先輩と仲いいし、そっちかもね。行ってみる、ヒサギン?」
由美里に聞かれ、考える
「うーん……」
彼女は、宮子についてはあまり知らないけど。アイドルの百合葉が、漫研の戦力になるとも思えないし。
カラオケ大会を盛り上げるためにも、ちょっと借りるぐらいなら、いいんじゃないか。
「そうね。行ってみよっか」
そして。
由美里と2人、「
額に冷えピタ貼ったり、明らかに血走った目で漫画を描く、少女たちの姿!
仮にも美術部員の
「まあ、新戦力!? 新戦力ですのね!?」
ひとり元気な(元凶でありながら!)エヴァンジェリンが、瞳を輝かせる。
「あっ! 先輩、その子美術部ですよ!」
「ごめんなさい部屋を間違えました!!」
連れ込まれる前に、
彼女たちには、カラオケ大会を盛り上げるという、大義があるので……、
「「……うん。私たちは、何も見なかった!!」」
漫画研究部のことは、忘れることにした。
賢い選択……!
※ ※ ※
【後書き】
新登場ゲスト
・二宮
・夢宮
藍川海咲希様「私はあなたのタイプじゃない」登場。(「小説家になろう」で連載中)
・白石
桜ノ夜月様「君に捧げる花の名は」(「小説家になろう」連載中)や、伯爵作「∞ガールズ!」(「小説家になろう」で完結)に、ゲスト出演。
・北川かおり 楠富つかさ様「恋は芽吹いて百合が咲く」登場。(「ハーメルン」にて完結)
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