第47話 オススメのマーベル映画 基本編

 緊急事態宣言がなされて、いよいよ引きこもることを余儀なくされた。


 一日一回は歩いて十分程度の仕事場に行ってメールをチェックしたりしているけどそれ以外は基本家にいる。


 もともとはアウトドアとインドアの中間に生息しているような人間だったからこの自粛はそこまで辛くはない。しかし流石に息が詰まるというか、やはり一日一回は外の空気吸わないと辛い。


 こうなってくるともう大事なのは心身の健康維持。


 そんな中、僕がもっとも精神の安定の為に必要だと思っているのは「やるべき事」。


 何かに追われる日々、というのは一見すると精神を削りそうなものなのだが、仕事に飼い慣らされた僕ら現代人の何割かは、「●●をいつまでにやっておきなさい」という課題がないと精神を崩壊してしまう可能性がある。


 悲しい人生だが、仕方ない。生きるということはそういうものなのだ。


 そんなわけでこの途方もない長期強制休暇をどう消化すべきか真剣に考えた結果、僕はひとつの課題を見出した。


 それがこれだ。


「ニワカ知識でマーベル映画オススメレビュー」


 ものすごく重苦しい雰囲気で書き始めたのでさぞかし真面目な内容だと思われただろう。


 やってらんねえよそんなの。


 この時節。ただでさえ真面目に自粛してんすよ。もうね、疲れちった。


 だったら目一杯趣味に走って書きたい。


 どうせむこう一ヶ月は家にいなきゃいけない。マーベル映画全作見放題のディズニーデラックスだって初会の一ヶ月は無料なんだからこれを機に入っちゃえばいいんですよ。


 マーベル映画だけ全部見て、解約するもよし、そのまま契約しちゃうもよし。


 何しろ時間だけはありますからね。


 ではいってみましょう。


 その前に注意点。



 ◆2020年四月時点で配信済みのマーベル映画に限ります。


 ◆全作三週目という微妙なニワカ知識なのでそこまで深掘りはしないよ!


 ◆原作コミックは少しは読んでるけど、2%くらいしか読めてないのであくまで映画が主軸だよ!


 ◆ネタバレを含むけど未見の人に興味を持ってもらえる範囲に留めておくよ。できるだけね。


 ◆間違えることもあるからその時はご指摘してね!


 ◆ディズニーデラックスの回し者じゃないよ!



 さて、いよいよ映画のオススメをしていくわけだが、その前にちょっと待ってほしい。


 初心者向けのオススメレビューだからまずは何を置いてもマーベル映画の基礎をご紹介させてもらいたいのだ。映画を観賞するにあたって仕入れておくべき基礎中の基礎。


 逆にここは知っておかないとなかなか世界に没頭できないのでは?という箇所を厳選して。


 少々我慢してお付き合い願いたい。


 まずはこのマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)という作品たちは一体なんなのか?という質問に答えたい。


 ざっくりではあるがつまりこうだ。


 頭空っぽでみても充分楽しめるし、深く考察してみても当然に面白い。コミカルなお笑いシーンの多い作品もあれば、終始シリアスで暗いトーンの作品もある。老若男女、文系理系、どんな趣味嗜好にもある程度、はば広く応えられる。そんな作品たち。


 これこそまさに、真のエンタメ映画といえるのではないか。と個人的には思っている。


 なにしろこのMCU作品たちのすごいところは膨大な量の伏線と、それぞれがかなり濃い繋がりを持っているくせに、各々がエンタメ映画として立派に独立して面白いという点だ。


 現在のMCU作品は「インフィニティサーガ」という大きなひとつのシリーズで形成されている。その始まりが「アイアンマン」であり終わりが「アベンジャーズ・エンドゲーム」である。


 このシリーズは全部で23作品。一見すると手を出し辛いほど膨大だ。もう腰がひけてしまう。


 しかし安心してもらいたい。先述した通り、MCUのほとんどの作品は、どれもが濃密に繋がっているが、同時にしっかり独立している作品なのだ。どれから観ても楽しめる。


 もちろん例外はある。


 例えばアベンジャーズ作品の「キャプテンアメリカ シビルウォー」なんかは前作である「エイジオウブウルトロン」を見ていないと把握できない背景があるし、最高傑作「エンドゲーム」も前作の「インフィニティウォー」の続きなので先にこっちを見ていないと話にならない。


 まあ分かり易くいえば、いくらなんでも「アイアンマン」より先に「アイアンマン2」は見ないよね?という話。(時系列についてまた後日に説明したい)


 しかしそれを抜いた18個以上の作品が、どれをとってもその辺のハリウッド映画なんざ足元にも及ばないくらいのエンターテイメント性をもち、映像の迫力や素敵な音楽と世界観で視聴者を楽しませてくる。


 では何から見るべきか。これは各サイトや個人のブログなどで死ぬほど掲載されていることなので正確な順番は割愛したい。あえて言うなれば先ずは「アベンジャーズ」と冠がつくものよりヒーロー単体の作品から見るべきだ。


 例えば「アイアンマン」や「キャプテン・アメリカ」、「マイティ・ソー」などがある。


 ※混乱を防ぐために敢えてややこしい例外を書かせてもらうが、無印のスパイダーマン(俗にいうサム・ライミ版)やアメイジング・スパイダーマンは作品としてはかなり面白い。しかしMCU作品、ならびにアベンジャーズとは無関係なので今回は後回しでもいい。加えて「インクレディブル・ハルク」においては、ファンには申し訳ないが他の作品に比べるとできが悪く、かつアベンジャーズとこの作品ではハルク役の俳優が違うという意味不明な展開がおきているので、これも気が向いたらみるくらいの認識で構わない(その後のアベンジャーズの展開から考えるに公式でもこのハルクの映画はなかったことにしたいような雰囲気がある)。



閑話休題


 

 ではここで、主軸となるヒーロー三人の映画を軽く紹介しておこう。ついでに映画版に限った話でのヒーロー自体と演じた俳優の紹介も。



せっかくなので分かりやすくキャラを表記したい。


ヒーロー名/キャラの本名/演じている俳優名


という具合に書かせてもらう。





アイアンマン/トニー・スターク/ロバート・ダウニーjr


 アイアンマンという映画は壮大な物語である「インフィニティサーガ」というシリーズにおいて、原点というべき作品である。また、ひとつの区切りの「エンドゲーム」においても主役級の連中がゴロゴロいるなかで、見事文句なしに主役の座をかっさらっていった男。それがアイアンマンこと、トニー・スタークである。


 彼の能力は一見するとメタリックなパワードスーツに思われがちだが、それは違う。真の能力は超天才科学者であり有能なビジネスマンというところ。つまり人類を代表する優秀な頭脳こそが、彼の強力な武器なのである。


 身体能力が標準よりやや上くらいの彼だが、頭のキレは作中で最強クラスであり、また生まれながらのリッチマンですこぶる商売上手だ。例を挙げると、自分たちが悪者と戦って壊した建物を再建するビジネスを立ち上げてひと儲けしてしまう人だ。そんなヒーロー聞いたことがない。(後にそれも火種のひとつとなる)


 また彼はトラブルメイカーでもある。


 映画版の彼はとても魅力に溢れている。しかしその魅力というのはリッチなことでも、天才であることでもない。彼がとても人間的な人物として描かれているところだ。


 彼は超がつくほどリッチなくせに、過酷な環境から脱出した際に「今いちばん何が欲しい?」とか聞かれて「チーズバーガー」と答えるほど庶民的だ。また、プレイボーイで女性関係にかなりだらしない割に、近くにいる意中の女性にはなかなか想いを伝えられないくらい不器用である。そして何より、好奇心と傲慢さで最強最悪の悪魔を生み出してしまったが、それは心の底から地球の人々を守りたいと願うからこそだという、ある種、鋼鉄の正義感を持っている。その志はエンドゲームまで貫かれているのが素晴らしい。


 多くの意味で矛盾し、恵まれていながらも孤独で、失敗しながらたゆまぬ努力で困難に立ち向かっていく彼を見て、誰もが親近感を抱くのだ。彼はまさしく、アメリカの考える「自分もこうなりたいヒーロー像」そのものであると、個人的に考える。


 トニーを演じるロバート・ダウニーjr自身も、薬物やアルコール依存症だった過去と戦いながら、今作のシリーズで見事に世界から愛される俳優の一人となった。遅咲きではあるが、いまやMCUの顔といえばロバート・ダウニーjrであると言っても過言ではない。


 彼に興味が沸いたなら「アイアンマン」「アイアンマン2」「アイアンマン3」をオススメしたい。


 パリピでセレブだけど、ナイーブで寂しがりという人間臭いイケイケ主人公が好きな方は是非見るべきだ。



 続いてはこちら。



キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース/クリス・エヴァンス


 アイアンマンがアメリカの憧れるヒーロー像であるなら、キャプテンアメリカは「アメリカがいて欲しいと望むヒーロー像」であると考える。


 アベンジャーズのメンバーがトニー・スタークを「アイアンマン」ではなく「トニー」と呼ぶのに対し、キャプテンアメリカはほとんどのメンバーから「キャプテン」と呼ばれる。


 それは彼が、チームにとっても象徴的な存在であるからだと考えられる。


 かつて、スティーブ・ロジャースは貧弱な男だった。国を思う愛国心は誰よりも強かったが、身体は弱く、戦争にも参加できず鬱屈した日々を過ごしていた。だがその愛国心を見込まれ、スーパーソルジャー計画によって無敵の肉体を持つキャプテンアメリカへと変貌を遂げる。


 生まれながらにヒーロー精神を持ち、そして科学によってヒーロー的な肉体も手に入れた。正に完璧なヒーローだ。しかし完璧ゆえに、彼は不完全な男でもある。


 有能なリーダーでもあり、人々に満遍なく救いの手を差し伸べているが、時おり凡人の抱える苦悩や葛藤に鈍いところがある。元々無欲だった彼が唯一の願いだった屈強な身体を不意に手に入れてしまったので、こうなってしまうともはや神に近い存在である(エンドゲーム内で正にそれに相応しい描写がある)。


 トニー・スタークとはいい意味でも悪い意味でも正反対にいるので、お互いを常に対岸から見ているようなイメージだ。


 キャプテン・アメリカの単体では「キャプテン・アメリカ ファーストアベンジャー」と「キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー」のふた作品がある。


 アイアンマンシリーズに比べると戦争の色が濃く、やや暗い雰囲気も見受けられるが、真面目系主人公の奮闘しながらも熱血に戦い続ける姿が好きな方はこちらがオススメだ。


 主演のクリス・エヴァンスは正にザ・アメリカの優等生、という見た目をしている。マーベルキャストの中でも特に適役だと思う。時代と共に変化していくコスチュームも見どころのひとつだ。



 最後はこちら。


 

マイティー・ソー/(映画版は無し)/クリス・ヘムズワース


 

 北欧神話に出てくる雷の神「トール」がモデルとなっている。世界観も北欧神話に沿っているのでオーディンやロキ、アスガルドなどファンタジー勢には馴染み深い単語が出てくる。


 ソーは地球では神として崇められているのだが、実はアスガルド人という進んだ文明を持つ宇宙人なのだ。


 アスガルドの第一王子にも関わらず傲慢で暴力しか頭に無いソーは極度のやらかしによってオーディンに地球へと追放される。


 そこで出会った地球人たちと交流していくなかで、優しさや思いやりを学び本当の王位継承者、マイティー・ソーへと成長していく物語。


 この作品の本当にすごいところはソーの心の成長に伴って映画自体の雰囲気もガラッと変えてきていること。


 第一作目の「マイティー・ソー」では傲慢と暴力に満ちていたので、全体的に粗暴な雰囲気だ。正直映画としてはそれなりに面白いがシリーズの中では凡作の方だろう。


 二作目の「ダーク・ワールド」ではジェーン・フォスターという恋人ができたことにより愛情などが生まれはじめていて前作よりも人間臭くなっている。全体的な雰囲気もシリアスではあるものの、少しずつコミカルなシーンもあったりラブストーリーじみた展開もあったりする。


 三作目のバトルロイヤルに関してはもうまったくの別物で、宿敵兼、義理の弟のロキともかなりコミカルなやりとりがあったり、ハルクに対して友達みたいな絡みをしたりする。アクションも派手で面白い。色彩や音楽も格段に明るくなっておりもはや別のシリーズかと思うくらいだ。


 辺境の地でお山の大将をしていた脳筋坊やが外の世界へ出て愛を知り、優しさを知り、人としてヒーローとして成長していくストーリーなのだ。


 ソー演じるクリス・ヘムズワースは金髪でムキムキなちょっとおバカさんというアメリカのハイスクールで一番モテるタイプの脳筋キャラなので当然女性ファンが多い。しかし日本だとああいうタイプはそこそこなので逆に義弟のロキが人気だったりする。黒髪で痩せていて神経質そうですぐ裏切るタイプのイケメン。日本の女子、好きそう。


 そんなソーを演じるクリス・ヘムズワースと宿敵ロキを演じるトム・ヒドルストンは私生活では実は大の仲良しで、しょちゅうイチャイチャしてる写真がSNSにあがっている。そんな裏話も世界中にマイティー・ソー女性ファンを多く獲得した理由のひとつだろう。


 正直一番面白い三作目バトルロイヤルではヒロイン、ナタリー・ポートマン演じるジェーン・フォスターが一切出てこず、義弟ロキとの絡みばかり出てくるのでこの組み合わせ好きには悶絶ものだ。


 ムキムキ兄貴と裏切り弟との義理の兄弟愛に興味がある方々は是非「マイティー・ソー」「ダークワールド」そして「バトルロイヤル」を強くオススメしたい。


 以上がいわゆる「マーベルビッグスリー」たちの映画である。


 後日、それぞれをひとつずつ深掘りしていく予定だが、基礎編として是非興味を持っていただきたい。


 ではまた。


 続く

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