第52話 続 Amazon primeでも見れるオススメドラマ

 さて、Amazon primeでも観れるオススメ海外ドラマ。引き続きビッグバンセオリー(ギークなボクらの恋愛法則)のご紹介。


 前半では主要となるキャラクター、シェルドン、レナード、ペニーをご紹介した。


 後半ではさらに欠かせない四人を掘り下げて解説します。


 

 ハワード・ウォロウィッツ


 ビートルズの劣化版みたいな見た目をした勘違い系のなんちゃってお洒落男。


 シェルドン、レナードと同じ大学に勤めているが仲良しグループの中でペニーともう一人の学者ではない人物。とはいえMIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業している秀才エンジニア。将来的には宇宙に行ったり、軍用のシステムを開発したりする。割と優秀なエンジニア。


 修士号ということでよくシェルドンからバカにされる(というかもはや差別)。本人は頭の回転も早いので素早く皮肉で切り返したりもするがシェルドンは皮肉に疎いので思ったよりダメージを与えられないことが多い。


 優秀な人物ではあるがシェルドンとは違った方向で性格に難がある。女性に対してセクハラ的な行動や発言が多いのでナンパした相手から高確率で侮蔑の言葉を浴びせられる。


 また、母親と同居しており(アメリカでは二十代で母親との同居はダサいことの象徴)かなりのマザコン。母親はオッさんのようなダミ声だが作中は声しか出てこない。ハワードによると超肥満。


 母親と同居するマザコンオタク、その上痛めなファッションセンスの癖にモテ男ぶるという最悪なキモオタではあるものの、友達想いで繊細な部分もあり、友人としては面白いタイプ。実は様々な楽器を使いこなすことができる才能があり、歌を自作したりもしている。


 後にペニーの紹介で知り合ったバーナデットと付き合い結婚する。


 出会った当初はウエイトレスだったバーナデットは学者になり、大成し、仕舞いに大手製薬会社で自分よりもキャリアに恵まれることになるが、嫉妬するどころか甘んじて彼女の財政力にぶら下がるところがダメだなと思いつつも好感がもてる。


 個人的には一番好きなキャラクターで、バーナデットとの記念日に彼女へ贈った自作の歌の「まさかこんなに幸せになると思わなかった。キミのおかげさ。きっとキミと出会わなかったら、ボクは今でもママと暮らしていた」という歌詞で泣いてしまった。普段、相当なカッコつけのクセに、精一杯の等身大の自分と感謝を愛する人の為に歌う。しかも弾き語り。上手い。


 ハワードは作中でおよそカッコいい場面とは無縁なキャラクターだったが、この瞬間に多くの視聴者が彼の本当の魅力に気が付いたかもしれない。


 余談だがこの歌の撮影時、バーナデッド役の女優さんはリアルにこの歌に感動してしまい、本当の涙を流したそうだ。確かに言われてみると、役者としての表情というよりは一人の人間の顔が垣間見える。


 ハワードは大好きで欠かせないキャラクターだ。




 ラジェッシュ・クースラポリ


 通称ラージ。インドからきたお坊ちゃん。父親は産婦人科医で相当な資産家。兄弟が大勢いるが父親いわくラージが一番の放蕩息子。


 インドから素粒子論的宇宙論(なんのことかさっぱり)の研究をしにやって来た生粋のインド人。生まれも育ちもインドだが今や完全にアメリカの暮らしを謳歌している。金遣いが荒い。


 最初は異性に対して気弱で酒が入ってないと口がきけないくらいシャイだったが後に克服する。その反動か克服後は異性に対して、ややだらしなくなってしまい、みんなが着々と結婚したり同棲をしていくなかで二股をかけたり、フラれては付き合うを繰り返す。


 ハワードとは無二の親友であり、親密過ぎる様子から様々な人より「え?二人は恋人同士なの?」と言われていた。ハワードが結婚してからもそれは変わらず、妊娠が発覚しようが子供が産まれようがラージはマイペースに友情を表現する。それはハワードの愛する妻バーナデットや子供へも漏れなく注がれており、行き過ぎる愛情表現(主に金銭面からの)にはバーナデットが困惑することも多々あった。


 ハワード自身はラージに頼ることに抵抗はなく、むしろありがとう的な考えでいる。時々それでバーナデットの怒りを買うが、ラージの口が上手いので最終的にバーナデットもやり込まれてしまうのが大体のオチである。


 バーナデットと付き合う前のハワードにとって、ラージは母親以外で唯一心を寄せられる人間であった。ひとりっ子かつ父親に捨てられた過去のある彼にとってはラージは親友というより家族に近いのかもしれない。実際、子供が産まれた時にハワードはラージを「この子にとって第二の父親だ」と言っている。


 作中では情けないマザコン男と中性的なインド男の怪しい友情関係をネタにして笑う演出がなされている。しかしふとした瞬間に一歩離れてみると、彼らの友情がとてもかけがえなくある種、羨ましいとさえ思える。


 ラージとハワードはお互い「キミが奥さんだったら嫌だ」と口にするが、彼らの友情は硬く、あつい絆で結ばれているのは間違いない。




 バーナデット


 ペニーのバイト仲間でハワードに引き合わされた。大学院生を経て博士号を取得し、後に大手製薬会社に就職する。


 当初はハワードに対して良い印象は抱いていなかったものの、なんとなく惰性でデートするうちに好きになってしまった。


 キャラクター的にも、小柄でブロンドの眼鏡女子。いかにもオタク受けしそうな容姿で大人しい印象だったが、次第に化けの皮が剥がれていく。


 ブチ切れるとダミ声になるし、かなり邪悪な一面があったり、他人を蹴落とすのに抵抗がない。ハワードやラージ、最終的にはシェルドンに対しても平気でブチ切れるようになる。


 ちなみにハワードも最初は容姿だけで彼女をなんとなく好きになっていたが、心底本気の恋愛に目覚めたのはブチ切れてダミ声になった時でハワードは「聞いた、あの声!彼女、ママみたいだ!」と歓喜していた。(ハワードのお母さんはダミ声で傍若無人)


 仲間内ではハワードに次ぐ出世頭であり純粋な給料でいうなら彼女が一番の高給取りである。


 


 エイミー・ファラ・ファウラー


 バーナデットと同じくシーズンの途中から参加するメインキャラクターの一人。ポジションはまさかの「シェルドンの彼女」。


 優秀な脳神経学者でありレナードやシェルドンたちと同じく大学で研究をしている。


 見た目はお世辞にもお洒落とはいえない格好をしており、初期の頃は表情も乏しくロボットのようだ。歳よりも老けて見えるので幼いシェルドンと並んで歩くと母親のようである。


 またかなりの変わり者であり、シェルドンと同じく幼少時の友達はいなかった。その為、ペニーやバーナデットとは常識のズレがある。まさに女子版シェルドン。とまあ、最初はかなりの変わり者風を吹かせていたが、次第に一般的な女子の感覚を露わにしていく。


 ハグやキスなどのスキンシップをシェルドンにねだり、潔癖症の彼に拒絶されながらもめげずに時に寄り添い時に譲歩し、結果見事に飼い慣らしていく。


 初登場時のエイミーは変わり者の女子版シェルドンであり、非常識な発言を連発し周りもしばしば手を焼いてしまう描写があったが、その後ペニーやバーナデットとの友人関係を構築していくことで早い段階で一般的な感覚を獲得した。その結果、わがままで自分勝手なスーパー変わり者の暴君であるボーイフレンドの矯正に成功し、チームに平和をもたらした最大の功労者となった。


 こうやって書いてしまうとエイミーがボスを倒した勇者のようであるが、要するに幼稚で未成熟だった天才の心を恋愛によって成長させた健気な女性なのである。彼女の登場によってこの物語は終焉に向かって進みはじめる。


 このビッグバンセオリーにおいて、始まりはペニーという女性であり、終わりもまたエイミーという女性なのだ。レナードとシェルドン、それぞれに大きな変革をもたらしたのは物理学の歴史的大発見などではなく、互いが愛するたった一人の女性だったわけだ。


 そう考えると、よく出来た物語である。


 長くかかってしまったが以上でビッグバンセオリーの紹介を終わる。自粛で時間の余っている方には是非オススメしたい。


 そうでない方も時間に余裕ができたときに何気なく手にとってみてはいかがだろうか。きっとハマるはず。


 二人のオタク男が成長していく姿は長い時間眺めていると健気で可愛く思えてくるものだ。


 次回はオススメ紹介から一旦離れて、別の話題。


 続

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