第12話 目指す場所
この世界を作った奴を殴る?
そんなことできるはずが…ある。
「かいはつしつ…」
俺はその方法を知っている。
だが、それは不可能だ。
何故なら、それをやるには裏ボスを倒さなければならない。
このゲームは共通の4月、5月を経て6月からヒロインの話になる。
隠しヒロインを除くと6月は従兄弟ルート、7月は後輩ルート、8月は先輩、9月は会長、10月からは幼馴染で11月にルートヒロインの話になるのだ。
ゲーム最初からのRTAだったら、従兄弟ルートからのおとなりセックスを利用して瑠璃との運ゲー開始で従兄弟精神崩壊エンドが最速だな。
ゲームでは従兄弟ルートが確定したら11月までワープするのだが、この世界だとどうなるんだろう…
このゲームには隠しエンドがある。それには条件があるのだ。
主人公はヒロインのアイテムを盗める。
これでバレたりして好感度をガシガシ下げるやり方もあるが、一度しか盗むことができない。警戒されてしまうのだ。
そしてヒロインのアイテムを盗んでそのアイテムを錬金するとランダムで運命の鍵というアイテムが手に入る。
本来、ヒロインルートに入らないと攻略できない心のダンジョン。そこに入る事ができるのだ。
運命の鍵で入るダンジョンはクリアしてもそのヒロインのルートに飛ばず、心のカードというアイテムを得るのだ。
その心のカードを従姉妹、後輩、先輩、会長、幼馴染の5枚を集めて12月25日に灯台でカードを使うと裏ダンジョンに挑む事ができる。
ニューゲームができないこの世界では運命の鍵を手に入れることができない。
ルートとしては唯一幸せに終われるエンドとか聞いたが…俺はその存在を知らない。
セーブ&ロードとしなかったのは乱数で手に入るアイテムの上にノーセーブで行かないとクリアできないのだ。
解析やツールでクリアした話は聞いたが、俺はそういう動画とかは嫌いなので自力で頑張って挫折した。
セーブ&ロードを駆使して裏ダンジョンまで行っても「貴方は別世界の貴方、ここには入れません」と言われて進めなくなる。
ちなみに「逃がさないよ…クスクス」って言葉が聞こえてダンジョンの外にも出られないオチがある。ひどくない?
かいはつしつはその裏ダンジョン踏破で入れる場所だという…
凛子が期待した目で見ている。
「いや、無理だ。そこに入ることはできない…不可能だ」
……
凛子は何を期待してるのだろう…
「ねぇ…なんでウチが死んだと思ったの?リライブを使ってたのに」
「あの…ウゴメクモノ遭遇イベントはイベント死だからだ。戦闘中じゃないとリライブは使えないし、効果は切れる」
「…戦闘中って何?イベント死って何?多分…うまく言えないけど本来死ぬはずのウチが生きてるのが何かに使えることだと思う」
確かに
戦闘になったら陣形を組んで、終わったら元の場所に戻るのはゲームの仕様だ。
リライブが切れなかったのはそれが無いからだろう。
「そうか…フレーバーテキスト…!」
フレーバーテキストというのは、ゲームに彩りを添える意味の無い文章だったりするものだ。
例えば薬草というアイテムがある。
これの説明には『体力を回復させる草、独特の苦味がある』
なので、この世界で薬草を食べれば苦味があり美味しくないのだろう。
リライブという魔法は
『生き絶えた際に発動すると言われている古代魔法。時が止まった空間でしか成功例はない』という説明がある。
前世では、だから戦闘中しか効果が無いんだなとしか思ってなかったが、あのダンジョンは時が止まったままだ。
だからリライブは発動し凛子は生き返った。
逆に言えば、戦闘中にリライブを使っても蘇生はできないという事だ。
凛子が言いたいのは仕様でなく、設定なら出来ることがあるかもってことか。
思い出せ!できるはずだ!
……………
…これならいける!
「凛子…いけるぞ…凛子の力があれば…裏エンディングに行ける…」
真弟ルートに!
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