第10話 振り返らない。振り返れば黒歴史。

 凜子の空間魔法に収納されていたキャンプグッズ。それで保管していた食材でカレーを作り、たき火を囲んでいる。


俺、凜子、エレン、鳩の4人だ。



自分の命を自分の意思で自分がやりたいように終わらせる。


それが願いだと彼女、エレンディア=スケープゴートは言った。


今まで、彼女は切られようが、焼かれようが死にさえすれば元に戻る。



だが…今の彼女にはそれはできるかどうかわからない



「今のワタクシの命は一体何ですの…?」


「それはわからない…でも変な話を言えばここにいる誰もが。誰もがわからない命を持ってる」


両親から分けてもらったのか?それとも蘇生呪文を使った凜子の命か?

今の俺の命はエレンの命なのか?


今の俺の命はエレンが消費した命で俺の命を戻した…とかも考えれる、キリが無い


………たまにある謎シリアスはなんなんだよ…基本バカゲーだろう?このゲームは…。



「なんつーかわからないんだけど、エレンは普通の女の子に戻ったって事じゃないのか?」

「!!!???」



「変な話をすれば、本当だったら死ぬまで『生き返ること』なんてわからないじゃないか」

まぁこんな話中学二年生ぐらいしかしないような気はするが。

「だから、今『死んだら生き返れるのか?』って悩むのは意味なんてないさ」


「これから…『普通』に生きればいい」



「普通…ワタクシの普通…」



「んで、なんでお前は意気消沈してるんだよ、鳩」



「うぇっ?イヤ…うん、ボクって…やっぱり変だったんだなぁって」

「今更!?」

あとボクっ娘だったな!この娘は地の文は私なのに一人称ボクってわかりにくいね!



「この手…ボクの手はなんでも壊しちゃうんだよ…」

「…そうだな」


「でもセンパイは壊れなかった。」

全力回避してたからな


「そして、叩かれて、笑っていて…楽しかった。幸せだった。」

俺は何度死にかけたかわからないけどな


「でも…わかった。ボクが触れたらセンパイも壊れちゃう。そして…」

「センパイもボクを壊せる…」


「…そうだな」


「ボクはわからないんだ。なんで窮屈に手加減して生きてて面白いのかわからない。うーん背伸びをして、自由に走り回って、動き回りたい」

「なんでダメなんだろう?」


本当だったら、今の年頃の女の子が全力で部活動に打ち込み、走り回って動き回っても何も問題は無いだろう。

だけど多分…この娘はそれをしたことが無い。できない。


走ればソニックブーム、触れれば粉砕。彼女に何かができる…とは思えない。



「なぁ…鳩。」



「多分…お前が自由になったら間違いなくただの兵器だよ」



「へい・・・き?」



「そうなればお前は間違いなく人類にとっての悪魔だ。間違いなく狩られるだろうな。」


もう鳩は己の死を理解している。


「…ボクは…」



「まぁ今は時間がある。このダンジョンも入口はまだ平気だよ。今日は寝よう、疲れただろ?」



鳩とエレンはテントに入っていった。


残りは…



「なんでそんな恥ずかしがってるんだ?凜子?」




はじっこで顔を抑えてる天使を説得するだけだ。







…あー、うん。やっぱりかわいいなこいつ。

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