第8話 全てはじけて混ざる

ここしかチャンスは無い!!


鳩が伸ばした必殺の腕に飛びついた。



そう、これは間違いなく自殺だ。


死ぬことを恐れ、死ぬことを忌避して、死ぬことをもう二度と体験したくないと願った自分との矛盾だ。



だがそれでも生きたかった。

自分は生きていたかった。自分が殺してしまった少女と。



これから自分がする事は2つだ。


とある少女の生きがいを奪う。

そして少女の歩く道を作ることだ。



「うぉおおおおおおおおおお!!!」


動け俺の体ぁあああああ!!





そして必殺の腕が俺を貫いた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ああ…この瞬間を待っていた。


この不幸な少年が命を落とすのを待っていたのだ。



私の命は彼の命となって果てる。

永遠の命の牢獄から解き放たれる時が来たのだ。


これは間違いなく快感で、自分はこのために生きていたのだ!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


絶対に壊れないと思っていた。


この人ならばともに歩けると思っていた。



でも、先輩も一緒だったのだ。他の人達と同じだった。


「センパイ!!」


私の腕は先輩を貫いていた。

そして…


先輩の腕も私を貫いていた。


…なんだ…そうなんだ。私もだった。



私も他の人達と一緒だった。一緒だったんだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



二人は死に、一人は生き返る。ここで行われるのはこんな計算だっただろう。


だがここは…時が止まっている場所だ!


「久しぶりに計算通りだ!凜子!!」


「わかってる!もうかけたから大丈夫!」


「もう一つの方は!」


「…これ!!」


自動蘇生呪文。ここでしか使えない唯一の蘇生。


そして一挙両得!持ってきているとは思っていたが、ここでやれるのはでかい!

ここで心の鍵を錬成する!


「錬成!!」


行くぞ!心のダンジョン!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


次元のダンジョンの入口から光が漏れた。


「おっと、光りましたね。任務完了です。」


少女が3人、その内の忍者の恰好をした少女はつぶやいた。



「・・・・・・殺さなきゃ・・・・殺さ・・・・何を?私は?」

包丁を持った少女は正気に戻る。



「ふええええ…またブラが壊れてますよぉ…もう帰りた~い…」

豊満な胸を持った少女はボロボロの制服で泣いていた。




「私は一体…貴方は?あの時の…」


「ああ…覚えてますか。まぁ今日のことは気になさらずに」



「でも…私は…」


「ふむ…では一言だけ言わせて貰いましょう」



「我が主殿は皆を助けると言いました。なので貴女も助けるつもりでしょう」





「なので楽しみに待っていてください」


才子は微笑みながら言い切った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



とある聖人は言った。


「私が戻らなければここを私の墓としなさい。そして一切の立ち入りを禁じます。」


今より昔、魔法も奇跡も今より繁栄していた頃である。


ありとあらゆる奇跡を起こし、ありとあらゆる魔法を操ったと呼ばれる聖人。ルーベンス。


彼が命をかけて封印した場所がある。


そう、ここはエンディング後に入れる隠しダンジョン。


超高難易度の迷宮


セントルーベンスの墓所。



ここに少年一人と少女が三人立っていた。



「あのバグ本当だったんかぁあああああああ!!ふざけんなぁあああああ!!」



少年は一人絶叫していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る