第2話 囚われの才子
ここは忍者の里。どう見ても忍者の里だ。
さて、この衛星から写真が撮れるこのご時世。どうやって忍者は忍んでいるのか。
一部の忍者は忍者村や映画へ奉公へ出ている。他にはサラリーマン等の一般家庭を作り外に出ている者も少なくない。
我らがエリートである才子さんについては、基本的には英才教育である。
本来、忍術というものは異能ではない。故に忍者だからと言って学園には入れないのである。
だが、才子は忍術が忍術の域を超えている程の実力者であるため特例で許されているという裏設定がある。
「まぁ忍んでいる形をとって暮らしている…とみせかけて
本当の忍者の里は駅で降りた場所なんだよ」
ちなみにここまで乗継で3時間だ。微妙に遠い。
「!!?…なんでここまで来たの?」
「観光」
この小説が漫画化されたら見開きでいい画になっていることだろう。
…というのは方便で、この忍者の里に来ることがフラグなのだ。
フラグ無視もできそうだったけど一応ね!しょうがないよね!
ということで歩いて戻る。徒歩15分だ。
「ここ…なんか普通の町だよね…?」
「うん、ただの町だよ。見た目はね…」
忍者の里の手前の町である、この木葉町こそが忍者の里の本当の姿なのだ。
「なんかジャパニーズニンジャの概念が壊れるわね…」
「むしろこの現代で電気ガス水道が繋がってない方が辛いよ…」
そういや海外暮らし設定だっけ、日本名だし流暢にしゃべるからなんかそんな感じしなかったな。
「まぁちょっと田舎な感じだけどもこれはこれでいいわね」
「駅前が寂れてジャスコに取られてるのもリアルだよなぁ…」
「…ということで駅員さん…統領に伝えてくれるか?」
俺は変装をしている駅員さんに声をかける。この町の住人は全員忍者できちんとネットワークがある…設定だからいけるだろう。
「俺の下僕を引き取りに来たってな」
「…!!何を言っているのかわかりかねますが、そのような事に意味も何もないかと思いますよ」
「まぁ形式だけさ」
ということで、才子の所へ向かおう…シナリオ通りなら才子は拷問を受けているはずだ…。
忍びの里の因習から才子を救い出すんだ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「このおバカ!!」
容赦のない平手打ちを受ける才子。しかし才子は耐える。
「ここまで…愚かとは思いませんでしたわ…やはり里から出すのは早すぎましたか」
平手打ちをしたのは霧隠紅葉、才子の実の母親である。
そこに現れたのは霧隠才覇。才子の実の父親である。
「…ここに、才子の主人と名乗る男が現れた…。」
才子は内心の喜びに震える…しかし表情には出さない。
「…!!旦那様!」
「ここの場所は誰にも教えない…それは一族の掟。しかしお前の主人は知っていたようだな…」
忍びの里の掟は絶対である。才子がそれを破っていたとすれば破門の印が腕に浮き出るハズだった。
しかし才子の腕には何もなかった。破っていない証拠である。
「里のカモフラージュを即見破っている辺り、その者の実力はわかるというもの…」
「才子がこの様子では…まだ外には出せませぬ!」
「ああ…わかっている…」
「才子を託す価値があるかの見極めも同時にできる…あの手段を取るぞ!」
「あの手段というと…ま、まさか!?」
「霧隠れの里…大運動会だ!!」
才子出戻りイベント、里の大運動会がこうして開始された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます