第13話 広げた風呂敷は畳むためにあるんじゃない
「はい!もういっちょ!」
大きな爆発音がダンジョンに響く。これ…盾でガードしてる音なんだぜ…?
「おっし!落ちた!!!」
やっぱり、落ちるものは落ちるまでやれば落ちるんだよ!
落ちて何も無いか、落ちてもお肉が落ちるだけだった空間。
そこにプレゼントボックス…クリスマスでもらう箱のようなものが落ちていた。
「はぁ…はぁ…結局何が落ちたの…?」
まぁこれはレアドロップの表現であって、手に取ればソレが姿を現す。
「静寂の竪琴!」
現れたのは、演奏中全ての物理攻撃を0にするアイテムだ。
この効果中は『物理属性であれば即死すら無効にする』という条件がある
「これがあれば…!鳩!」
「…何?先輩?」
「ちょっとそこの木を思いっきり押してみてくれないか?」
「…???」
森林型のダンジョンの木を押し込む、鳩の怪力に負け、思いっきり折れた。
「…何の実験?」
「まぁまぁちょっと待ってな」
ダンジョンのギミックは破壊できても再生する。折れたはずの木がすぐに元に戻った。
「…まるでワタクシの呪いですわね」
静寂の竪琴を鳴らし続ける
「もう一回やってみてくれ」
「え~…え?ん?んん~~~~~」
鳩が本気で押しても気はびくともしなかった。
「すごい!すごいすごい!!」
「とまぁこんな効果だな。演奏の中なら物理ダメージが0になるんだ。だからこの演奏の中なら暴れても大丈夫だぞ」
「すごーい!先輩!大好き!!」
「ちょっとまてぇええええ」
感極まった鳩は思いっきり抱き着いてきた。
抱きしめのダメージは無いが、演奏を止めたら死ぬのが確定している状況だ
「ごめん、演奏の邪魔…しないで…死んじゃう!!」
「あははは!!本当だ!!すごいよ!あはははははは!」
えー…ええ~…ただ適当に音を鳴らしてる状況だけど、えええ~
「ダレカタスケテ…」
「拙者ここまで激しいスキンシップはしたことがないでござるな」
「…ウレシソウデスネー」
「ワタクシモ…ぐえぇ」
魔力の紐で首を括られてるエレンディアさんなんて見えない…。
俺の演奏は約15分続いた
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「ということでウサギ鍋ですよ~」
凜子さんの料理ができた。お肉はいっぱいあるからなぁ…
「「「わー」」」
女子の反応も結構いい。ウサギ肉はヘルシーだしね。
「わーい…」
俺は疲れ果てていた。
…まぁ俺は主人公というやつなんだろう。モテる男はつらいね!ははっ!!
めちゃくちゃ殺気を感じました。ごめんなさい。
「………」
なぜか包丁を見て凜子が止まってる
「包丁がどうかしたか?」
「いや…なんか、見てると怖くなってきて…」
凜子の包丁エピソードなんてあったかな?
もしかしたら未発売のファンディスクの設定を踏襲しているのかもしれない。
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でもそうじゃなかった。
この時の僕に気づくことはできないとは思うけど、僕は見る場所を間違っていたのだ。
僕は自分が何者かを知らなければならなかった。
僕は僕をちゃんと見続ける事をしなければならなかった。
僕たちはみんなで鍋を食べて、お腹を満たした後にボス部屋の前で眠り、ボスに挑んだ。
そこで現れたボスは非常に強力で恐ろしい力を持っていたけど、静寂の竪琴を利用したハメ技で倒すことができたんだ。
僕らは鳩とエレンの2つの心の鍵を入手した。
個別のダンジョンじゃないから専用武器は無かったけど。もしあったとしても2人は戦闘では論外だからまぁいいんだ。
季節は過ぎる。予想外の心の鍵でルートにも余裕ができた。
僕はエンディングにたどり着く。最後まで生き抜くために。
…今いるみんなと笑い合うために。
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