第6話 逆転論破〜負けたら死〜

人気のない公園。

ここは人気のない公園だ。


まったくもって1人もいない。つまり誰も助けてくれないのだ。


「貴方の名前は藤島健。正しい?」

「はい…」


右のペンギンが⚪︎と×のステッカーを上げる。

正しくもあり、正しくないという意味だ。


「貴方の前世の名前は…?」

「わかりません…」


ペンギンは⚪︎のステッカーを上げる。


積んだ。絶望しかない。

凛子を仲間に出来なければ終わりだ。


このゲームには選択肢全てが即死という選択肢がある。

凛子が庇ってくれたり、凛子が救命措置をしてくれて助かるのだ。

ちなみにその時に凛子がパーティにいなければ詰む。


ダンジョンの即死トラップも凛子が助けてくれたりでなんとか突破できたりする。

なので嘘800で乗り越えなければならないところだが、となりの鳥がそうさせてくれない。


真実のペンギン


このゲームでヒロインを助ける際のミニゲーム、逆転論破というミニゲームでパートナーに凛子をつけると出てくるペンギンだ。


嘘か本当かを判断でき、曖昧な状態もステッカーの揚げ具合でわかるという…


チートかよ!!


「貴方はおと…弟くんと結ばれようとしている?」


「はい…」

⚪︎ですね、はい。


「……なんで?」

「一番生き残る可能性が高いからです。」

⚪︎だ。ちょっと弱気。


「弟くんはかわいい?」

「はい…」

なんて勢いで⚪︎出してんだよこのペンギン!!


「ひくわ…」

軽蔑の目しかない…やばいやばい


「……弟くんは世界で一番可愛い?」

「は?この世界ならお前だろ」


「へ?」

ペンギンは勢いそのままで⚪︎を上げてる。


弟は弟でかわいいけど、俺普通に女の子の方が好きだし。


幼馴染の瑠璃は核地雷だし

学園の先輩はドS過ぎてエンディングには俺の両腕無くなってるんだぞ?

学園の後輩はドM過ぎてエンディングに俺が絞め殺すオチだし。

生徒会長のエンドは最後に自分が会長を庇って死んだ後、脳みそだけのサイボーグにされて、「ダレカ、オレヲコロシテクレ…」と呟いて終わる。

従兄弟はラスボス撃破後に精神崩壊を起こしてそれを介護するエンドだが、何故か他人に寝取られる。

隠しヒロインの3人は……割愛しとこう。


シナリオ班!!!


「うううう、ウチが世界で一番可愛い??」

「だからそう言ってるじゃん」


ペンギンは⚪︎を上げてる。


凛子は顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった。

さて、どうするか。凛子の読み取った範囲は恐らく1日分ぐらいのようだ。

メタ的な言い方をするならプロローグから第5話の部分だな、やべーよオイ。


地の文含めて全部だよ!


あ、フリーズしてると見せかけて記憶読取魔法使ってるな!!

脳内オカリン同人誌(18禁)フォルダ全開放だ!!


「あぴゃあああ!」

「俺にもう記憶読取魔法は効かないぜ!」


自分がラブラブエッチをしてたり、ハイエースで複数のおじさんににゃんにゃんされてる絵は効くだろう?


「本題に移れよ…」


もう一度凛子は顔を真っ赤にしてフリーズした。


……………


はーい、凛子さんが落ち着くまで3分かかりましたー


「貴方は嫉妬の悪魔、アグロヴァルトについて知ってるの?」


「知っているけど知らない」

ペンギンは⚪︎を上げてる。


「俺の幼馴染に憑いてるのがそいつだった。」

「だった?」


「憑いている悪魔を喰らって自分の力にしているのが瑠璃だ」


「ただの人間よね?」

「だったが正しい」


あれが人間はありえねーよ…

瑠璃ルートでは仲間にできるけどさ、このゲームで2回行動、武器封印持ちだからな…

瑠璃ルートとみさきルートのボスはジャスティスフラグメントというボスなんだが、瑠璃の攻撃で右腕封印、左腕封印を付与して足封印、頭封印を繰り返す糞ゲーになる。

グラフィックに包丁が刺さりまくる姿は可哀想でしょうがない。


話を戻そう。


「だからアグロヴァルトはもういないんだよ…」

「えー…」


だから国に帰れよ…とは言えないんだが。


靴ぐらいなら舐めるから一緒に来て欲しいなー…


とりあえずその場は解散になった。

情報を整理したいらしい。凛子は空を飛んで行った。



俺も帰るか…










家のドアにビニール袋がかけてあった。

中身はチョコミントバーが2本入っていた。

完全に忘れてた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る