第5話 体験版ならここで終わります。
岡野凛子。通称オカリン
このゲームのキャラクターで、大天使である。
男友達のように気さくな性格でありながら、趣味は家事で、困っている人を決して見捨てない優しさを持つ。
セミロングの髪にボーイッシュな服装だがポイントポイントで女子力が高い。
実は高次元魔法使いであり、瑠璃についている悪魔を追っているという設定だ。
全てのルートで仲間になり、どのルートでも頼りになる。
パーティにいると主人公が死ぬ判定の攻撃を全てかばい、肩代わりしてくれる。
ラスボス以外にも即死攻撃があるが、安心して戦えるのは凛子がいるからだ。
昔に出会った少年に片思いしてる設定もあり、それ100%主人公だから!!とか色々ある。
このゲームの人気投票第1位を誇る大天使である。
だが、攻略できない。
探したさ!探したんだよ!全年齢版も全部!
どうしても見つからない。どこにも見つからない。
ファンディスクが出る噂があったが、その前に会社潰れたからな!!
そんな悲劇のサブヒロインなのである。
「に…逃げて…」
足を切られても他人の心配か…
そっと自分は敵の前に立つ。
このゲームにおいての初戦闘。動けない凛子を庇う形になるが問題無い。
「あんなん俺がぶっ飛ばしてやるよ。」
魔神の腕を顕現する。そして出てきた敵を殴る。
敵はアークデーモン斬撃型だ。
だが、今は爪がない。凛子に全て飛ばしたらしい。
あったらヤバイからな。クリティカルが発生すれば即死になる。凛子がパーティなら庇ってくれるが、この戦闘は1人だ。
ちなみに爪が無いとクリティカル発生率はゼロだ。助かる助かる。
ターン開始時に凛子の側にいるとHPを全快してくれる。それを利用するのだ。
「すごい…キミなら勝てそう!傷ついたらウチの側に来て!回復するから!近づいて思いっきり『攻撃』するの!」
「よし、行くぞ!」
行かない。
いや、このゲーム敵を攻撃すると反撃をもらうのである。
ハード以上のモードだと一撃で半分以上削られるわけで
攻撃>反撃、敵の攻撃で死ぬ。
なので反撃しかしない。
ちなみにエクストリームだと20%の確率で敵が連撃してくるのだ。死ぬ。
「え?」
後ろで何かを言ってるみたいだが、気にしたら負ける。
敵の攻撃!右ストレートだ!
早いよ!あわよくば回避とか考えてたけどこれは無理だ!生身でなんとかガードだけはした。
「ステータス」
ボソッとつぶやく。体力が6割無くなっている。ハード以上かよ!
すぐさま敵に魔神の腕を飛ばす!
もう一回吹っ飛びな!!
回復が飛んでくる。これで1ターンか!
もう一度敵の攻撃を待つ、まーた右ストレートかよ…
この俺に同じ技は通用……しました。
殴られて反撃を5回繰り返す。
エクストリームならこれを8回必要だ。
起きるなよ…起きるなよ…?
よし!ハードだ。倒した…
「本当に倒しちゃった…」
「おい、足は大丈夫か?」
「魔法で血は止めてるから平気よ、でもウチの足落ちて無いかな?」
美少女だが足の断面はスプラッタも良いところだ。貧血を起こしそうだが、凛子の方が辛いはずだ。頑張れ俺。
ここで見つけられないと、義足になり、凛子の回復性能が落ち、攻撃性能が上がる。
義足凛子にするのも一つの手だが、才子がいればあまり必要ない。
あったあった。早く持っていこう。
見ないようにして持って行った。ひんやりしてるわ。
………
「ありがとう、助かった!」
「良かった良かった。しかしアレはなんなんだろうな…」
あれは瑠璃が生み出した怪物だ。瑠璃の好感度が下がるたびに怪物との戦闘が発生する仕組みになっている。シナリオ班?
「え?ええ?」
考えてると凛子が何かやってる。なんだなんだ?
あ、まずい!
「離れて!!」
腕で突き飛ばしたが、困惑したままの凛子。
本来であれば主人公が半ばいじめみたいになってる状況や家族事情。
あと主人公の能力についての事情をこっそり凛子は魔法で記憶を読むのだ。
彼女は悪魔を追っている。魔神の腕を使う人間なんて調べて当然なんだよな…
そんな状態から助けるために凛子は同じ学校に引っ越し、主人公の日常が始まる。
そう本来ならば……
沈黙の後凛子はそっと呟いた。
「ウチ、ゲームのキャラクターなん?」
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