第4話 大盛vs小盛

「風刃!」


才子が風の刃を呼び出し、その場に叩きつける。


蓮は距離を取ってそれを避けた。


『なんて密度!強さの次元が違うわね…でも!』


蓮はすかさず才子の上に転移する。


「アタシはあまり、横槍を入れられるのは好きじゃないのよ!」


蓮は空中から蹴りを繰り出す。もちろん、イメージを乗せて。

空中から繰り出されるソレを才子は両腕で受け止めた。


避けることなら容易にできたが、才子の後ろには瑠璃がいた。


「アナタ…何故…?」


「瑠璃殿と仰いましたか、拙者は何というか貴女が不憫でしょうがないのです…」


腕が砕かれるイメージ、それを受けながらも才子は話す。


「人は…一人では生きていけません。」

「ただ二人でも生きていけないのです。」


蓮は才子に追撃を加えようとする。

両腕が砕かれている(と思っている)状態の才子は避けるしかないが、避けるそぶりは無い。


「避けなさい!アナタの偽善なんていらない!」


蓮の拳が当たる刹那、才子は蓮を殴り飛ばした。


クロスカウンター


相手の腕を巻き込み、威力を上げた拳を叩き込む。

風の忍術を乗せた拳は蓮を思い切り飛ばした。


「へ?」

「確かに、背徳的に二人でまぐわいながら、朽ちるまで肉欲の限りを尽くし、愛し愛されて過ごすのも魅力的ではあると思いますが!」

「拙者は大学に通いながら、色々旅行したりして、就職後1年で結婚!新居に越して幸せな新婚生活を過ごして、隣の奥さんと仲良くなって旦那の愚痴を言い合ったり、商店街を二人で八百屋さんにサービスしてもらったりしつつ、買い物をしたり、ラブラブな新婚生活を過ごしつつ、生まれる子ども!夢のマイホーム!とかそんな感じの方が瑠璃殿には合っていると思いますよ」


「………そうね…そっちの方が素敵かもしれないわね…でも…私は…」


「一朝一夕には何も変わりません…そうですね…まずはゆっくり眠ってください…」


瑠璃はそのまま気絶した。


「アタシの蹴りを受けて腕が動くなんてどういうカラクリかしら…?」


「簡単な事です。私は痛みには慣れてますので、腕が砕けても動かせるだけですよ」


「ああ…最も、受けたのは気持ちいいかな?とか思ったのでわざと受けたのですが…やはり主殿でないと駄目みたいですね…不快な痛みでした」


「え…?」


「私には夢があります。主殿には目的があります。貴女は両方邪魔しかしていない」


才子の怒気が膨れ上がる。圧倒的なプレッシャーに蓮は動けなくなる


「ここで貴女が死んでも、主殿の目的には何も問題がないはずです。私の夢にはちょいと影響があるかもしれませんが…親子丼がメニューから無くなっても…まあいいでしょう」


「ちょっと!どういう意味よ!」


瞬間移動で逃げようとする蓮だったが…


「甘いです。奥の手なんてポンポン見せるものではありませんね…」


才子の手には光る石があった。


「霊樹の勾玉…巫女の霊力が入ってますね、恐らく、1個で1回。瞬間移動ではなく瞬間置換。これが貴女の奥の手です」


「……!?」

「まあ一度転移魔法とやらを見せてもらったのが分かった要因でしたね。人が消えるまでの道筋がある程度一緒でしたから。」


「転移には座標指定が必要になります。しかし、貴女にはその素ぶりが無かった。小さな石を投げるだけ…しかも置換の後はただの木屑。まあ、よくできた技であることは確かですが」


「くっ…」

「殺す殺さないは拙者にとって些末事ではありますが…そうですね。私の夢の協力者になってくれるなら生かしておいてもいいかもしれません」

「貴女、拙者の考えを読みなさい。ぷれぜんと言いましたか、それで賛同するか考えて貰いましょう」


「変なイメージを送るかも知れないわよ?」

「まあ、燃やそうが擦り潰そうが、拙者には全く効きません。まあやったら即座に心臓を抉り出しますが」



「…わかったわ…」



才子の上映会が始まる…







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