閑話 モブ才子
side才子
「お前のような三下が俺に勝てると?」
首を絞められている。しかもこの腕…切り落とせそうにない。
大きな腕を顕現する能力…自分の攻撃を全て読まれたのは初めてだ。
私は里の中では最強だった。
世の中では、異能の力を集める学園があるという。
忍術は異能ではないが、異能扱いになったのでなんとか潜入できた。
里を出て、学園に通って、勉強したり、部活をしたりする毎日は楽しかった。
可愛いアクセを集めたり、甘いスイーツを食べたりするのも、ハンバーガーショップでアルバイトするのも楽しかった。
登下校では、カンを鈍らせないために、忍者の格好で気配を消しながら走っていたのだが…
バレた。この男に。
恥ずかしさのあまり、とりあえず殺そうとしたのがこの結果だ…いや、流石に悪いことをしたわこれ。
そして因果応報、この男に殺されようとしている。ただ、これちょっと気持ちい…
ってああ!息ができる!首絞めが無くなったみたい。
って!キスされたの!?ファーストキスはもっとロマンチックが良かったわ…
よし、死のう。
って止められた!なんなのこの腕!
「殺すのは惜しい、俺の下に来い」
ん?あれ?この人結構私好みかもしれない…しかもなんだろう…この絞められてる感じ…気持ちいい…
「私は強くならねばなりません…貴方の下でならなれますか?」
下心を隠しつつ建前を述べる
「確実にな」
迷いなく述べる声には力があった。
「霧隠才子、貴方に仕えます。」
「藤島健だ。霧隠才子、全力で俺に尽くせ」
パトカーの音が聞こえたのでとりあえずその場は逃げた。
…………………
なんとなく呼ばれた気がして、神社に行くと主殿がいた。
ダンジョンデートかと思いきや3人だった。
里だと大体一夫多妻なのであまり気にしない。本妻なら仲をとり持たないとね!
………………
あれ?2人が話してる内容がさっぱりわからない…小銭を持ってくと喜ばれるけど…あれ?あれあれ?
ただ、この弱者を嬲る感覚…気持ちいいかも…
いちごオレ美味しい
…………
なんだこれ、話の半分もわからん。半分というか全部わからない。
二人の空間過ぎて…
でも弱ってる主殿可愛い。
こういう主殿に虐められるのも…
いや、逆に虐めるのも…
なんでこんなことを考えているんだ、私は一体なんなんだろう?
……………
レベリングが終わり、私はかなりの力を得た。今なら里に戻り、忌まわしき実家を皆殺しにできそうだ…
数日後に主殿から連絡があった。
内心ウキウキで会うことになる
「何か御用ですか?主殿。」
「あー…才子…こないだは悪かったな…」
しゅんとしてる、かわいい
「主殿は私に力をくれました。何も悪いことなどありません」
多分あの憎き親父なら瞬殺できるだろう
「そう言ってもらえると助かるよ…それでお願いがあって来たんだ」
なんか今の主殿なら何をされても喜ぶかもしれない…
「な、なんでしょう…なんでも言って下さい」
笑いそうになる顔を隠しながら答える。
「俺達と一緒に神さまを殴るのを手伝って欲しいんだ。」
あー…うん、真面目になってるね。
まあ、ついていくのは決まってたし、ちょっとだけ意地悪してみようか
「それは、私が便利な道具だからでしょうか?」
話はさっぱりわからなかったけど、わかりそうな単語がこれだったんだよね!
「違う、俺は才子、お前にずっと側にいて欲しいんだ。」
…これは告白だよね?行っていいよね!
「ありがとうございます!あるじどぷぎゃ!?」
抱きつこうとしたら光の壁に激突した。
そして凛子どのにハリセンで殴られる主殿の姿が見えた。
そして見えてしまった。凛子どのの左手の薬指に光るものがあるのを…
ああ…なるほど、なんとなくだけど凛子どのと同じようなことになったんだな…と理解した。
とりあえず、壁ダメージが痛過ぎたので気絶しました。
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