第11話 これから

ずっと恐怖していた。

ただただ怖かった。間違いたくなかった。


でも、見てしまった。

人が死ぬ瞬間を見てしまった。


目の前の凛子が、才子が、血の流れている普通の人間だっていうことを感じてしまった。


僕は…あんなにも大嫌いな、もう二度と体験したくない、死を…


彼女たちに体験させるのか?あんなものを。

実年齢じゃ10歳以上は下の?




ああ、なんだ。僕は最低な人間なんだな…

そうか…そうだよ…こうなったら…



僕が行動を起こす前に右腕に違和感があった。

「逃げちゃ駄目だよ…」


どうしてバレたのか、心を読まれた?未来視?なんでだ?


「アレの記憶を見たの…」


指差した方向には倒したウゴメクモノがいた。


「アレは貴方だった」


そうだ、そんな設定だった。

「貴方は逃げた。宇宙に…逃げて逃げて逃げ続けて…そしてウゴメクモノになった。」


つまり…逃げても死んでしまう…

いや…凛子が言いたいことは…でも…


「俺は…駄目だ。もう駄目なんだ。」

「僕は知らなきゃ良かった。みんなが生きてる人間で、みんながちゃんとこの世界を生きてて、僕も世界の一員で。」

「俺には何もなかった。僕は死にたくなかった。」


恥ずかしい告白だろう。なんなんだ俺は。


「俺は藤島健だけど、僕は●●●●で」

何かにノイズが走る。僕は●●●●のはずだ。


「俺は凛子も才子も知らない。僕は凛子と才子を知ってる。そして俺は他人を殺すのなんて嫌だ。僕は他人を殺してでも死にたくない。」


「僕は藤島健を抑え込んでた。何もなかった俺を僕は意のままに動かせた。」

「でも僕も…殺したくなくなった。だからもう…いいんだよ…」


そんなシンプルな結論だった。


ここで、死ななかったのなら俺に関わらなければ凛子も才子も平穏に暮らせるだろう…


でも、アレ?そもそも凛子はなんで生きてるんだ?

あの光は…


リライブ自己蘇生呪文…」


「貴方に言われた、使えるようになった魔法はその場で使い続けていた。」


「あれは…戦闘中にしか効果が無い…イベント死には使えない…」


そのはずだ。


「やっぱり貴方は知ってるのねこの魔法を…」


かなり極めたゲームだしな、一撃死が飛び交うゲームでのかなり有用な魔法だ。

即死を防ぐ天使のブラではあるが、即死攻撃は威力がバグってるのも多くダメージで死ぬパターンも多いのだ。

まあこんな事を考えるのも今日までだ。


「ここまで付き合ってくれてありがとう…これからは自分の力でやっていくよ…」


宇宙逃げも駄目だとすると…まあやべえな!


…………


ダンジョンの帰り道、これから学校なんだが、凛子が口を開いた。


「ねえ…お願いがあるの…」

なんだろう…まあここまで付き合ってくれたわけだし、殺してしまった責任もあるし…


「なんだ?」


「ウチは許せないの…この世界を…作った人間を」

「だから…お願い」







「ウチに神様達製作者陣のぶん殴り方を教えて下さい」





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