第5話 死ナズノ蝶(瑠璃視点)
「貴方らしくないわね…何をしてるのかしら?」
部屋で膝を抱えて蹲っていると目の前にエレンディアが居た。
ああ…封印…解けちゃったのか…
「貴方がそんなのだとワタクシとしては張り合いが無くてよ?」
そんな言葉の後、私は包丁でエレンディアの首を刎ねた。
首は落ち、床に転がる。
血は噴水のように吹き出し、部屋を血に染めた。
…が、それはすぐに無かったことになった。
「いつ頃からそこまで短気になったのかしら、ワタクシにそんなの意味が無い事を知っているハズで」「黙って」
今度は縦に切り裂く。頭蓋骨から真っ二つに。意味が無い事はわかっているがイライラをぶつけたかった。
脳漿、臓物、あらゆる体液をぶちまけながらまた何も無かったことになる。
「まぁ、痛みを与えないあたりは優しさだと思ってあげますわ」
また私は部屋の隅に座る。
「本題を言ってよ、もう私達は絶交したはずでしょ?」
「1年近く殺し続けてくれたのですから、恨みつらみは言う権利はありそうですが…」
包丁を見せる
「はいはい、貴方に何がありましたの?貴方がきちんとケン様を愛して《殺して》くれないとワタクシはケン様と添い遂げる事ができませんわ?」
この女は!!
「ああ…もう一度同じ事はさせませんわよ、さすがに同じ事をされたら対策はできてますわ」
この女には財団が付いている。
多分私の情報が伝わっているのだろう。
「ワタクシの再生前に殺し続ける、意識無かったのが幸いかしら?貴方にとっては」
何もできない…ただ睨み続ける
「流石の財団でも、ワタクシの脳髄と心臓が潰され続けるというのはわからなかったみたいですわね…」
そうね…
「狂った私がやった唯一の善行は貴方を封印した事かしらね…」
「貴方はそれを呪いと言ってましたわね」
スケープゴートの本当の力は愛する人に命を渡すまで死ねない事だ。
「簡単じゃないですか、貴方はワタクシと一緒にケン様を愛してあげればいいですのよ」
「ふざけないでよ!貴方の壮大な自殺に健くんを巻き込まないで!」
「なら側に居てケン様をお守りすればいいのに…貴方はこんな所で何をやっているのかしら?」
「私は…私は…」
私が何をしてたのか自覚してしまった。
私がどんなに酷くて醜かったのか知ってしまった。
「私が…望んでいたのは…誰からも祝ってもらえるような…」
「………なんだか複雑そうですわね。今日の所は出直しますわ」
エレンディアが部屋から出ようとする
「あ、一言アドバイスをさせてもらうなら、多分これシンプルな問題ですわよ?…では御機嫌よう」
完全に一人になった。
そして悪魔になった右手を見る。
人間の頃から変わらない姿の右手があった。
「私…どうしたらいいのかな…健くん…助けてよ……」
呟いた言葉は闇に溶けた。
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