えっ?夢占いしないの?
第41話 寝相が悪い
「ホンマ…寝相の悪い女やで…」
下着姿で、掛布団を弾く
「ンガッ…グフフ……ハム?」
「ハム?…何言うてんねん…何の夢みたらハムって疑問形で出てくんねん」
掛布団が落ちてきて、目を覚ましたイプシロン(仮)がブツブツ言いながら二股の尻尾を器用に使って冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターを取り出した。
一口飲んで、大分溢す…猫の口にペットボトルは便利じゃないのだ。
「とりあえず拭いとかな…また怒られるで」
ペットボトルを床に置いて、ウェットティッシュで床を拭く。
「なによ…うるさいわよ…あっ!」
起こされた
「なんでこんなとこに水が置いてあるのよ」
「ワシが置いたんや、なんで蹴るねん…機嫌が悪いんか?アレがきたんか?」
「蹴ったんじゃないわよ、つまづいたのよ、生理じゃないし」
「もう…拭いときなさいよ…もう少し寝るんだから」
「休みだからって何時間寝るんや…猫より寝るて…引くわー、自信無くすわ猫として」
と言いつつ、自分も丸まって眠るイプシロン(仮)。
。―――。
「なんで夕日?」
「そらオマエ…ずっと寝てたんやさかい、朝日が昼飛び越えて、夕日になってもしょうがないやん」
「うそ…やだ…記憶が無い」
「なんの?」
「今日、何をしたのか…まったく覚えてないの」
「何もしてへんねん…寝てたんや…記憶なんかあるわけない」
「夢も視てない~時間が飛んだ~」
「夢…そういやオマエ、ハム?とか寝言、言うとったで」
「ハム…」
立ち上がって冷蔵庫を開けて、ハムを取り出した
「このハム?」
「そうちゃうんか、ハムって他に何かあるんか?」
「は…む…うん…無いね」
。―――。
「で…夕食にハムエッグかい」
「うん、なんか朝っちゃあ、朝だし」
「朝ちゃうわ…うっすら月が見えとるやんか」
カーテンをバッと開けるイプシロン(仮)
「やめて!! 今が夜だって気付いちゃうじゃない」
「気づけやー!! 8時ちゃうねん、20時やねん」
「気づいているわよー!! 認めたくないものなのよ、若さゆえの過ちというやつをー!!」
「オマエ、若ないからな!! ついでに言えば赤くもないんやで!!」
「赤い服着たらいいの? とんでもねー速度で出世できるのかしら?」
「人の3倍の速さでか?」
「あ~起きて、ハムエッグ作って、食って、寝るのよ」
「ええやんか別に…言うてもしゃあないやんか、夜やしね」
「アタシにとっては、ずっと夜なのよー」
「寝れないわ…ビックリするくらい睡眠を拒絶している自分がいるの」
「知らんがな…寝れんようやったら、走ってきたらどうやねん、疲れたら寝れるんちゃうか?」
「走る?ジョギング?夜に?」
「なんや、ジョギングは朝派かい?」
「朝派も、夜派もないけど…今のアタシ、朝とか夜とかを見失ってるから」
。―――。
「はぁ…それで眠らないまま出勤してきたんですか」
「不思議と目は冴えてるんですけど~頭はボーッとしているというか」
「一番アカンやつやんか…」
「なにが?」
「一番、集中力が欠けるヤツやん、目だけ開いてるヤツやん」
「ちゃんと働けるわよ~」
言いつつ、棚からDVDをガラガラッと落とす
「
「いえ大丈夫です」
「こういうときの大丈夫は、大概アカン事態へ繋がるフラグやねん」
ブツブツ言いながら、
「あ~眠いような…気もするのになぜ寝れないのかしら?」
「アレや、なんか不安があるんちゃうか?」
「不安?…………とくに思い当たらないわ」
「オマエ…楽観主義やさかいのー、長生きするでホンマ」
「自分の歳を忘れるくらい生きてるアンタに言われたくないわよ」
「猫が、自分いくつやったかなー?とか考えてると思うか?」
「だから、うっかり長生きして妖怪になるんじゃない」
「せや、それは否定せん!! だがワシは妖怪になって良かったと思うてるで」
「周りがそう思ってるかどうかは別よ…」
ハッと
「そうなん? ワシ行きてたらアカンの? 妖怪は地球の仲間ちゃうんですかー!!」
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