第47話 牛小屋で抱擁
「ゲフッ」
と大きなゲップをして、再び口を動かし始める。
「反芻しとるで」
「身体は牛だもんね~クチャラーは」
「なぜ私を?」
「ん…余は
「存じております」
「
「はぁ~神様って悪趣味ね~」
後ろほうで聞こえない様に小声で話す2人。
「うむ…クチャラーではない」
「アカン…聞こえとるで」
「もういいわよ…」
「此度は、私を語り部に指名したのですか?」
「うむ…」
「ホームページ関係ないんちゃうの?」
「そうなのかな?産まれてすぐ検索しないでしょうからね」
「せやろ、
「40万?高すぎない?ぼったくりよ」
「なぁ~、あげくに関係なかったって…軽くショック受けてんちゃうかな~」
「ショック受けたのはアタシだけじゃないのね~」
「一桁ちゃうショックかもしれんの~」
「なぜ私を…」
「お前の使役している悪魔のことじゃ…」
「72柱の悪魔が何かの発端に?」
「うむ…遥かなる先の話じゃがの」
「遥かなる先…」
「じゃがの…ラッパは近いうちに鳴るだろう」
「ヨハネの黙示録…」
「あぁ…ファティマ第3の予言までは、まだ間がある…だがいくつかの分岐を誤って進むノアの子らは…避けることは叶わぬだろうな…」
「私に訓示を?」
「そのつもりであったが…」
「あった?」
「気が変わった。余が神に許された時間は日が落つるまで…」
チラっと腕時計を見る
(後…3時間ほど…)
「此度は、予言はしないということでしょうか?」
「いや…それではあまりにな…個人的な話には付き
「偉そうな牛やの~」
「ねぇ~
「牛なのに馬っての~、しかし、なんでおっさんの顔で産まれんやろ?」
「アレじゃない?説得力ってやつ」
「オマエ…あの顔で世界は滅びる言われても信じるか~」
「ちょっとね…でも不気味な雰囲気は抜群よ」
「ひとつだけ、ファティマ第3の予言は実現されるということですか?」
「今のまま進めば避けられん…」
「回避ルートはある…」
「ファティマ第3の予言は、カタチあるものではない…ローマ法王に受け継がれるのは悪魔1人だけ」
「ラプラス…」
「シリアスやの…」
「場違い感、半端ないわ…」
「未来とか…予言とか怖いわね」
「のぉ~、死に際とか知ったら生きてく意味ないとか思って死んじゃいそうやん」
「いみじくも…そこな猫又が真理よ…未来を知れば、未来は変わるのだ…すなわち知る意味がないのだ…」
「ワシ…なんや良いこと言ったんかの~」
「照れるとこなの?」
「ラプラスは、全ての未来を知っている悪魔…ゆえに何も語らぬ悪魔でもある」
「話せば、未来は変わるから…」
「そういうことじゃの」
「では、あなたが存在する意味は?」
「余が人のもとに使わされるのは、避けられぬ事態を伝えるため…神からすれば事後報告に過ぎぬ…それでも神が余を送るのは、あるいは慈悲なのかもしれんがの」
「私は、その避けられぬ未来のひとつということですか?」
「歯車のひとつ…小さな、小さな歯車のひとつじゃ…主が悪魔を継いだ意味を忘るるなよ…」
「私は…神を…」
「よい…言わずで良い…流れるままで良いのじゃ」
「完全に
「退屈してきたわ…」
「しかし…呼び付けといて何も言わんっての~性格ババ色やの~」
「ウンコだけに」
「振り切ったの~
「宝クジ買ってく?サッカーくじ買っちゃう?」
「クソ踏み女」
「あっ?なによ」
「宝くじ…買うと良いぞ」
「えっ?マジですか?」
突然、馬面な顔が後ろの
なぜか若干、敬語に変わる
「信じますよ~」
「うむ…余は
「ホンマかー!!
「うん…生きてて良かった…」
「せやな…長生きするもんやで…オマエは運が悪いからの…心配やったけどの…良かったの~」
「イプシロン(仮)…もう節約週間とかしなくていいのよ」
「ホンマやの~ホテイさんビール、オンリーでもえぇの?」
「いいよ…瓶で買いましょ、瓶ホテイよ」
「マジでか?プレミアムホテイでもえぇかの~」
「何言ってんのよ…これからはプレミアムが私たちのレギュラーじゃない」
ホコリっぽい牛小屋で抱き合う
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