第48話 牧場メニュー
「件さま…そろそろお時間ですか…」
「そうだな…独りにしてくれるか」
「はい…では…失礼します」
「うむ…気負うなよ…思うままに生きよ」
「……私は…正しいのでしょうか?」
「答えぬよ…」
「はい…」
牛小屋の戸を閉めた。
「ちょっと待って」
「なんや
「そうですよ、
「違うんです、コレを最後にね」
牛小屋の脇に積まれていた新鮮な草を一束手に持っていた
「あぁ…そうですね、わかりました」
「なんだ…女」
「知ってるくせに…」
「ふむ…そうじゃの…礼を言う」
「じゃあね…
「
「ねぇ…死ぬってどんな感じ?」
「ん…気分のいいもんじゃないの…少し怖いような気もするわい」
「そんなもんなの妖怪でも?」
「余は妖怪ではないがの…まぁ安らかに逝けるだけ幸せなのかもの」
「
「よい…
「うん、ありがと」
「行きましょうか…」
薄暗くなった牧場には、もう牛はいない。
「また、明るくてもクソ踏むのに、暗がりでフラフラ歩くとまた踏むで」
「いいのよ…車が汚れるってなら、買って返すわよ」
「オマエ…大きゅうでるの~、でも当たるんやもんな~」
「そうよ、神様の使いお墨付きよ」
「凄いことやの~100%なんやで」
「自信を持ってコンビニで買うわ」
その頃事務所では
「そうですか…なにも予言されなかったんですか…」
「えぇ…」
「それでいいのかもしれませんね」
「そうですね…まぁ、今回は依頼じゃありませんから…お代は結構です」
「いや…呼んだのは私です、お代はお支払します」
「いえ、今回は…」
「そうですか…では…夕食は食べて行ってくださいよ、バーベキューの用意しますから」
「えぇ…それならば、ありがとうございます、あっ…
「あぁ、それなら…祀っている神社がありますので、神主さんに頼んで内密に供養してもらおうかと思います」
「それがいいですね」
。―――。
「美味いの~産地直送超えやもんな~」
「そうね、産地食いだもんね」
「野菜も、肉も美味しいの~ラムもえぇの~」
バーベキューやらジンギスカンやら、チーズフォンデュやら牧場メニューが並ぶ。
カールおじさんは、牧場の敷地でレストランも経営しているのだ。
奥の個室を用意してくれて、カールおじさん自ら準備してくれた。
カールおじさんが
「あの~、あの猫は?」
「あぁ、猫又です…わけあって彼女に憑いているんですけどね」
「祟られてるんですか?」
「う~ん、まぁ祟られてるんですけどね~」
「見えないですね」
「仲よくやってますね」
「そういう妖怪もいるんですね」
「あんなんばっかじゃないんですけどね…
「さて…そろそろ帰ります」
「泊まっていかれたらどうです?バンガローもありますから」
「いえ…今日中に帰りたいので、御馳走様でした」
「そうですか…わかりました、お送りしますよ」
「いえいえ…」
「コレ…交通費も受け取ってもらえないので、せめてものお礼です」
「はい…ありがたくいただきます」
車にいっぱい、とうもろこしやら冷凍肉やら詰め込まれて、カールおじさんの牧場を後にした。
「
「そうでしたね、来週からは億万長者ですか~羨ましいな~
「
「派手だな…どうも…」
「せやで、
「いや…ホームページ作るんだから裏稼業ではないでしょ…」
「法律的に改造車で走れないのではないかと…」
大きな夢を乗せて、サッカーくじを握りしめる
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