えっ?結婚するの?
第9話 袖擦り合うも
「まぁ…そういうこっちゃ
野太い声が響く。
シートベルトをカチャッと外して車を降りた
すっかり歩きやすく整地された地面を歩き、金色のイプシロンに近寄る。
大きい…4いや5mくらいはあるのだろうか…金色の長い毛は月明かりに照らされ美しくなびき、真っ赤な目は威圧感を携え
神々しくさえある威厳に満ちた姿。
これが、あの…アレだったとは…。
「イプシロン…」
思わず呟いた。
その姿は名に恥じぬ大妖怪。
本能には逆らえないのか、前足がヒクヒクと動きだし、真っ赤な目がクリッと丸くなる。
シパッと前足で叩いたかと思ったら、ゴロンとひっくり返って、4本の足をばたつかせて、じゃれ始めた。
(やっぱり…でかくても猫なんだ…TVで見たトラもそうだった)
「さて…帰りましょうか
「コレ…どうするんですか?」
「小さくなれるんじゃないでしょうかね~たぶん…」
「なれるで、大きくなるんわ妖気を使うけどな、小さくなる分には要らんのや」
「そうなんですか…あ~それでか…うん、
「ん…ん~んん…薄いな~インクが…」
「やっぱり、イプシロン、小さくなってくれますか?」
「ええで…早よぅ帰ってホテイさんビール飲むんや」
シュッと宙に舞って、夜空を駆けるように不規則に飛び跳ね、
「うん…じゃあ、もう一度、さっきの紙を読んでみて」
「えっ?」
「あれ?読める…」
「やっぱり…」
「そらそやろ、ワシが小っさくなっとるときは、
「なるほど…今なら殴れるわけか」
「なんでやねん、意味なく殴られなアカンねん」
「つまり…憑代が必要というわけか…うん…そういうことか…」
不破さんは、ブツブツと、ひとりごとを言いながら、車へ戻った。
「早よ帰ろ、つまみ買って、ホテイさんビール買ってな、なっ」
「あ~わかったわよ! うるさいわね」
。―――。
「今日は、頑張ったのー、ワシ大活躍だったのー」
「ただ働きでしたけどね…まぁ、放っておくわけにもいきませんしね」
「ん?そうよ! もともとアンタのせいじゃないのよ!」
「それはちゃうぞ
「カブトムシじゃないわよ! クワガタよ! パンツだって丸出しにしてないわよバカ猫!!」
「黒いパンツ見えてたわ、アホ~」
「近所の子供に頼まれたのよ、背が届かないからって…」
「行くか?ヒマやからって、小学生に混じって三十路が虫捕りて…オマエ、男やったら通報されんぞ、現代をナメんなよ!!」
「年齢不詳の妖怪が現代を語るな!! 還れ、なんか大霊界的な超神秘の怪しげな世界に還れ!!」
「オマエ…ワシが還ったら、どえらい目に合うんが解らんらしいのーおう?」
「平和な日常が訪れるわ!! 無職ながらも…」
「せやで、ワシがおるからこそのホテイさんビールやろがい!」
「ことは、そう単純じゃないんですよ
真顔で
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