えっ?霊って存在するの?

第25話 それは信じ難い

「見たんですってば、ホントに」

綺璃子キリコ、それは見間違いやて…幽霊なんてもんはおらん」

「そうですね、霊の存在は私も信じかねますね」

 妖怪と悪魔召喚士に全力否定された綺璃子キリコの幽霊話。

「まぁ~、子供の頃の話ですけどー、でも見たんですってホントに」

「夏やしの~、そういう話が盛り上がる季節やけどね~」

 3人で客の来ない店内で、そうめんをすすっている。

「怪異の巣窟、ど真ん中で百物語ってのも考えもんですね…怖くない」

「そりゃあね、悪魔呼び出す人と、妖怪を前に霊体験語るってねー、アタシの気持ちも理解してください」

「解るでー、綺璃子キリコ! 釈迦に説法っちゅうヤツや!!」

「ハハハッ、じゃあ僕が、死にかけた話でも、アレは3年前かな~」

「止めて…スケールが違い過ぎそうだから…金魚の水槽にアリゲーターガーを放つようなもんだから…」

「アリゲーターガー?それなんや?なんやメッチャ凄い恐竜みたいの想像してもうた」

「水中ならアンタ負けるわよ…たぶん…」

「怖い…怖いで…食われるん?猫ってあんまり食用にせぇへんやん…犬は食われても猫は食わんって、ウソなんか?」

「少なくても、日本の食卓には猫は並ばないわよ…」

「そうか?安心やけどね…ワシが封印されてる間に食文化も変わったからね~、あっピツッアゎ好きやわぁ、アレは美味い」

「そうめん食べてるときにピザ語る?」

「それは、そうと明日、アッチの仕事がありますので」

「アッチのですね…」

「ん?どっち?」


「それじゃ、お疲れ様でしたー」

「今日もホテイさんビールありがとさん」

「はいはい、じゃあ明日」


綺璃子キリコ、ピツッア買うて」

「アンタ、ピザ食べたいの?」

「ほら、お昼サッパリそうめんだったやん、なんやチーズ食べたいなって」

「ピザをねだる猫って…なかなかよね」

「なにピッツァがよろしやろか…ナスがえぇなー」

「発音が良いくせにトッピングは和風なのね…べつにいいけど」

「家に帰って、頼もうか?」

「出前好きよね…アンタ」

「だってワシ、店に入られんこと多いやん…コンビニもギリやで…昼間やったらアカンと思うで」

「アンタ、以外と自分という存在を理解してるのね…」

「うん?TPOっちゅうやつや」

「いいことね、出来れば人前ではニャーしか言わないでほしいわ…尻尾が2股ってだけでネットを騒がせそうだから、そのうえ喋るって…もう個性超えて特製だから」

「プレミアムっちゅうやつやな…ホテイさんビールプレミアム買ってこか」

「金のやつ?アレ高いのよ」

「えぇやん、今日はえぇやん」

「2本だけよ」

「サンキュー綺璃子キリコ

「妖怪がサンキューって…」


「コンビニって素敵やん」

「便利よね~」

「明るくてな、犯罪防止にも役立ってる気もするんよ」

「そうね…アンタ本来はブロックされる側の存在よね」

「悪い奴もおるからなー、綺璃子キリコも気ぃつけなアカンぞ」

「心配してくれるの?」

「当たり前や、オマエが死んだら、誰が買い物してくれるんや?人間と共存って難しいねんぞ、情報拡散社会、ナメんなよ!!」

「ハイハイ、コンビニ行くわよ」

「は~い、ピッツァとビール…デザートどうする?カタラーナにしよか?カラムーチャもな」


 。―――。

「ピッツァは冷めても美味しいのう」

「アンタ…自分の体重以上に食ってない?」

「別腹ちゃうの?ピッツァは別腹」

「別腹でピザって聞いたことないわよ…アタシ、お風呂入って寝るからね」

「あいよ…綺璃子キリコ、パンツちゃんと洗うんやで~サボったらアカンぞ」

「うるさいのよ、バカ猫、アンタ食べ終わったら、ちゃんとゴミ分別して、洗い物しといてね」

「はいはい…やかましいのー、現代はゴミの分別とか、ややこしいしのぅ、基本、火ぃ付けたら、なんでもえぇんとちゃうやろか?」


「ナスっちゅうんわ、油との相性最強の野菜かもしれんで…オリーブとも、チーズにも合いよる…こういうんを名バイプレーヤー言うんやろね」

「どうでもいいけど…まだ食ってたの」

「風呂あがったんかぃ…しかし綺璃子キリコ、オマエ、ワシのことなんやと思っとるか知らんけど、パンツ1枚でウロウロしなや…」

「見るな…エロ猫」

「あれか?オマエ、胸薄っすいから寝るときはブラジャーせぇへんの?」

「うるさいのよ!!」


「早く寝なさいよ、おやすみ」

「はい…頭が痛くて寝れそうにない…なんで、あないに凶暴なんやろか?…」

 椅子に立って、皿を洗うイプシロン(仮)の夜は更けていくのであった。

「バッファリン効くやろか…」

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