第11話 縁も所縁も…
「おはようさん」
「やあ、おはようございます」
「おはようございます
「まぁ…どうせヒマでしょうし、店番しながら話しましょう、その前に…っと…コレどうぞ」
「アンクレット…ですか?」
「えぇ…アンクレットにしました、邪魔にならないように」
「えっ嬉しい、邪魔じゃなんかないですよ、なんかオシャレだし」
「気に入っていただけたなら、良かった…デザインは選べないもので…」
「早速、付けてみていいですか?」
「えぇ、早い方がいいですから」
カシャッと足首に付けると、小さく涼しげな音を立てる。
「なんや…じゃれたくなる様なチャラチャラやの~、ウズウズするわ」
「引っ掻かないでよね」
「我慢はしようと、前向きに考えとるで…本能をくすぐりよんねんなー」
「ハハハッ、そこまでは考えてなかったなー、こっちはイプシロン(仮)のです、首輪になってます」
「ワシに?ホンマ?アリガトさん、気ぃ使わんでええのに…ワシはホテイさんビールの詰め合わせで充分ねんで、ホンマ…
「ハイハイ…」
カシャッと付けると、コチラもシャラッと涼しげな音をたてる。
「ほぉ…ほぉ…ええやんけ…なんや上品な飼い猫感、醸し出しとるで」
「怪しげな怪猫感よ…二股尻尾の化け猫が」
「化け猫ちゃうっちゅうねん! 猫又や」
「さて…準備はいいなと…」
「準備?」
「えぇ…それは封印です」
「封印…嫌やん…ワシまた…封じられるん?…嫌やん…騙しよったなー」
「コイツはともかく…アタシもですか?」
「落ち着いて聞いてください」
「実は…」
「アタシ…死んでるんですか?」
「封印なんて、簡単に解けるもんじゃないんですよ…掛けた本人以外は…」
イプシロン(仮)が解放されて、その祟りが真っ先に向かった先が呪術者本人だというのも理解しやすいのだそうだ。
「えっ…そういえば…祟られてたんでしたアタシ…自覚が薄かった…」
「せやで…ワシが大らかな性格や無かったら、オマエ憑り殺されてんぞ、感謝しぃや」
「そうなんですか…
「まぁ…そうだったんです…」
「だったんです?」
「えぇ…
「えっ?」
「そうなん?ワシ、
「軽く言わないで…ゴメンで済まさないでくれる?マジで」
「苦しいで…
「ここまでは、よくある話なんですけど…」
「よくあるんですか…」
「まぁ…祟りが子孫や生れ変わりへ向かうなんてことは当たり前ではありますね」
「ちょっと…粘着質じゃないの?アンタ」
「
「ここからは、推測なんですけど…」
おそらく、漏れた妖気に昇天を阻まれて、仕方なく元の身体に戻ったんじゃないかと…。
「デタラメな魂やの~、オマエ、根っこから、えぇ加減に出来てんねやの~」
「アンタのせいだろが…昇天させてやりましょうかね…今からでも…」
「アカン…抜けかけとったんや…マジで…アカン…」
だから…こう不安定なんですよ…身体と魂の結合状態が、剥がれやすいというか…。
「骨折を、ご飯粒でくっ付けた感じかの~、よく乾かさなアカンでキミ」
「せめて…ノリくらい使って欲しいわ」
その状態を外側から押さえつけているのが、イプシロン(仮)の妖気なんですよ。
「蓋みたいなものかしら?」
「臭いモノには…ってよう言うたもんやね」
ボグッ!!
そこで、2人に付けたのが…ソレなんです。
「このアンクレット…」
「えぇ…それはセットでしてね、まぁ、強制力が半端なく強い結婚指輪みたいなもんですね」
「えぇーッ」×2
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