概要
※登場人物が自己判断で投薬を中止する描写がありますが、現実での自己判断での投薬中止を推奨するものではありません。また、作品内で描かれている薬の効果や治験の仕組みは全て創作です。現実の病気や治療とは異なります。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!今までとは違う新しい自分。それが本当に意味するは……。
34年間生きてきて、友達もおらず、まともに社会性を築くこともできなかった主人公。ついに精神を病み始め、病院で入院することになるがそこで彼は医者からある薬の治験を勧められる。その薬を飲めばネガティブな性格を変えることができるという。薬の服用後、徐々に主人公の性格は改善されていき、職場に復帰する頃には同僚とも快活に話せるようになり、長年抱えてきたコンプレックスも克服し、やがて彼女もできる。しかし本人の自覚のないところでもっと大きな変化が起き始め……。
冴えない日常を送る主人公が病んでいく様子のディテールがとにかくリアルで読んでいるこちらまで憂鬱な気持ちになって引きずり落とされる劇薬のような作品…続きを読む - ★★★ Excellent!!!精神世界SFの傑作
最初は自虐的私小説のような体で始まるので、すっかり騙されてしまった。供述のリアルさは元より「お前小説」というべき新しいジャンルを開拓したかに思える。
勘のいい読者ならこの時点で解離性の人格障害を予想するかも知れない。その通り、これは歴としたホラーであり、SF小説なのである。現代科学はキチガイの脳の中に正常な人格を形成することに成功したのだ。
もともと精神の異常と正常の境界などは普遍性を基準にしただけの曖昧なものだ。
夢野久作の『ドグラ・マグラ』を彷彿とさせる彼らの錯乱した世界は、読み進むうちにその価値観の垣根を徐々に曖昧にさせ、やがて読者である私たち自身が外側にいる傍観者から彼らの側へと一…続きを読む - ★★★ Excellent!!!面白い
書き表されている内容の好悪と面白さは関係がない、その概念を体現したかのような話です。道行く片っ端から口に突っ込んでおすすめしたいが、それをするのがはばかられるという全く希有な作品です。向こうから語りかけてくる形の文章なので特段難解な部分もなくするすると読めてしまうのですが、するすると入ってくるのがどろどろとした『嫌さ』みたいなものなので次々いやな気持ちになります。そのほとんどが『理解できる』『身に覚えがある』類いの嫌さなのでめっちゃ嫌になります。しかし面白い。
ストーリーは『居場所のなかった主人公が居場所を見つけるまでとそれから』が投薬を絡めて繰り返し描かれており、ほしかったものを手にした…続きを読む - ★★★ Excellent!!!私もこういう小説を書きたいけど、千葉さんにしか無理ってわかってる
この人と仕事したくないなー という相手、一人や二人いる。いい人なんだけどなー、とか、仕事もふつうなんだけどなー、などと思いつつ、なんとなく、その人と仕事したくない気持ちをずっと抱えている。こんな経験、私だけでしょうか?
この物語は、「この人と仕事したくないなー」が「この人が生活圏内にいてほしくないなー」果ては「世の中にいてほしくないなー」レベルまでに広がったディストピアの一歩手前を描いています。主人公の変なおじさん34歳は、関わりたくない代表。そんな関わりたくない代表の人生を、第三者が語っています。だから関わりたくない変なおじさんの人生を「うわー、関わりたくない」という気持ちのまま読み進め…続きを読む - ★★★ Excellent!!!私やあなたの痛みに正面から向かい合ってくれる物語だ
とにかく「まともになりたいか?」この一言が心に刺さった人間は出来るだけ前情報抜きで早く是非読んでほしい
そして私と語ってほしい これだとレビューにならないのでちゃんと書く
出来るだけネタバレを抜きにして語るが多少展開を含んでしまうので
そういうのが気になる人はここでやめて早めに読んでほしい
ある日ストレスが重なって精神を病んだ主人公は奇行に走り入院する
そこで「性格を矯正出来る」というある新薬を試すことになるが……?
もうとにかくめっちゃ怖い。
これ性格が治るっていうより性格がいいとされる人格が生まれちゃう
そして「俺のがいい奴じゃん。だからお前は消えちゃえ」と自我を消しにかかってく…続きを読む