自分ドロップ

作者 千葉まりお

70

26人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

――

 私の師匠のわかつきひかる先生はおっしゃいました。
 二人称小説は一般的でないからやめておけと。

 でも思いっきり突っ走ります。

 精神病質の人が、精神病を感知する薬を飲みます。

 すると、突然まともな人が生まれるんです。

 心療内科のお医者さんが言う、健康にいいこと、自己肯定をはぐくむことをやり始めます。仕事もみつかり、自分の欠点は現れず、生活習慣は改善、心身ともに健康。

 さあ、憧れの彼女もできました。いよいよ人生が開けます。みんな変わった後の彼が大好きです。

 でも、それって、変わる前の彼と同じ人なんでしょうか。

 テーマ的には、コンビニ人間と共通するものがあるのかも知れませんね。

 心の闇、存分にえぐってみてください。あらゆる古典が肯定する人間的な幸せにノーを突き付け、存分に相対化して全てを壊してみてください。何かが生まれるか、それとも――。

 やっぱりこういう小説を、『文学』と呼ぶのでしょうかね。

★★★ Excellent!!!

――

たぶん心に闇を持っている人は読まない方がいいかもしれません
闇の中にある傷口を引っ掻き回されて死にたくなりそうになるから

この作品の言葉全体が、ある種の心の闇を抱えている人には「虐殺の文法」みたいに染み込んでいってしまう

私は……耐えきったと思うけれど、読む前の私と今の私は同じ人間と言ってもいいのだろうか?

猛毒、注意です
お読みになる方の健闘を祈ります

★★★ Excellent!!!

――

 いつかこの作品がバーンと評価された時に「俺はあの作品があまり知られていなかったころから目をつけていたんだぜ」とドヤるために今のうちからここに記しておきます。
 作中でも言及されているように、チャック・ポーラニック(わざわざポーラニックと表記するあたりにわたしのめんどくささを感じてください)の影響が強く見受けられる独特のタフな文体で、設定的にも底本としてファイトクラブがあるのはたぶん間違いないとは思います。
 しかしある種のカルチャーに親しんだある種の世代においてはチャック・ポーラニックは影響を受けないのが不可能なほど強烈な存在感を放っているので、「チャック・ポーラニックの影響を受けているよね?」というのはほとんど「あなた人間ですね?」と言っているのと変わりませんから、あまり意味のない指摘でしょう。
 そもそも真似しようと思ったところでそう易々と真似できるものではないからこそチャック・ポーラニックは今日でも燦然と輝くジェネレーションXのマイルストーンたり得ているわけで、そこにきて本作は、ただ表面上の(今のところ観測できている)設定がファイトクラブを彷彿させるだけでなく、もっと芯の部分でしっかりとポーラニックしています。
 〇〇っぽいというのが作家にとって一般的に褒め言葉とはならないことは重々承知していますが、レビューという性質上、どんな読者を想定して連れてきたいかというとチャック・ポーラニック好き好きマンなので、こういった表現にならざるを得ないところがあってご了承頂きたいというか。
 ポーラニックにハマッた経験のある人は是非「ほほう、チャック・ポーラニックっぽいとな? どれどれナンボのもんじゃい」と心理的ハードルを上げて読んでみてください。レビュー時点ではまだ未完ではありますが、この時点ですでに本作はそんなあなたをも興奮させるだけの十分なポテンシャルを持っています。