概要
『神速のスマッシュ』『狙撃のカット』『虚偽のドライブ』『僥倖のブロック』の四編構成。各エピソード一人のヒロインにスポットを当てた連作短編です。もちろん四編とも繋がっているので、一つの長編作品としてもお楽しみいただけます。
※カクヨムとBOOK☆WALKERの連携機能を使って電子書籍版を配信し
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!この四人、どの個性も強烈! 卓球少女の謎は、スマッシュだけじゃ崩せない
卓球部で発生した謎の事件。
思いやりと信念とが複雑に交錯した、そんな謎を巡る青春物語。
などと一言で括るにはまだ早い。本作の魅力はとにかく卓球!
三つ巴。今やゲームに於いて得手不得手として当たり前に見かける美しい図形。
この頂点を四つにしたとき、誰しも破たんを思い浮かべるのではないだろうか。
そんな言葉に、ちょっとでも興味を持った方は是非とも読んでみて欲しい。
必ず、この見事な結晶に唸りを上げることだろう。
そして、どの個性も魅力的で、おしキャラを決めるために頭を抱えることだろう。
四人が揃った時の感動と、その絶妙な掛け合いはずっと聞き続けていたいほど。
ファミレスで駄弁る四人の姿、そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!個性と個性がぶつかり合う青春スポーツ物語!
女子卓球部を舞台にした部活もの。中学卓球界で活躍していた全中四天王。しかし彼女らはトラブルがあり部活を辞めてしまう。主人公の渡部くんは彼らを部活に戻すため奮闘するが――。
ラブコメチックに物語ははじまり、次々と少年マンガに出てきそうな能力をもった個性的なキャラクターたちがでてきます。
お話は部活内の人間ドラマというか部活内でおきた事件を解決するというちょっとした謎解き要素も入っていて、設定も練られており、最後まで目が離せませんでした。
ラノベにありがちなテンプレ美少女はいませんが皆が皆自分らしさ、個性をもっていて、ちょっとした描写にも現れています。そしてそれが物語の主題に上手く絡んでいて良か…続きを読む - ★★★ Excellent!!!個性を極めた少女たちの青春卓球物語
卓球はバランスが大事。
そんなことをテレビか何かで聞いた覚えがあります。
バランス感覚が優れている人が強い。
それは、小説も同じです。
ではこの小説はどうなのか?
片想いの相手の頼みを聞いて奔走する主人公の男の子と、個性的な凄腕卓球プレーヤーの女の子とのバランス。
そんな彼女たちの性格や個性と、卓球のプレイスタイルのバランス。
物語で描かれる、青春的な葛藤と卓球というスポーツの面白さのバランス。
そのどれもが絶妙で、読者を物語中に引きずり込みます。
なにより、部員の女の子たちの関係性が既存の小説とはひと味違います。
部活を題材にした小説だと、仲間との絆だったり友情だったり、そういった要…続きを読む - ★★★ Excellent!!!作品は大切に育てた子ども
日常ミステリを現代ドラマで描いたら、理想型はこんな風になるかもしれない。
日常と事件をつなぐ媒介項。
その中心にあるのは人間と人間の〈関係性〉だ。
中学時代に"四天王"と呼ばれた卓球部の部員たちが、
上級生との対立により退部してしまった。
彼らを部活につれもどしてほしい――。
そんな依頼を受け、主人公は動き始める。
四人のキャラクターはどれも個性的で、魅力に満ち、
それぞれの特性をそれぞれの特性が補完するようにできている。
また、魅力的だと思ったのは、ちょっとした少女の描写が非常にリアルなこと。
「制服の中にパーカーを着込み、ブレザーの襟からフードを出した女子高生」とか。
ヴィヴィッドに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!正々堂々と姑息に、王道かつ邪道に………そして「僕YOEEEE!」
ここまで主人公が身を挺して空気になる現代ドラマがあっただろうか?
主役とヒロイン以外のアクが強すぎ、やられたい放題である。
実は有能な主人公は部活動のマネージャー的な役割に徹してなんとか目的を達成しようとする。
下心があるにせよ、傍から見てもかなり頑張っている。
しかしそれすらも……(ネタバレになるので言えない)
そして最後は……(ネタバレになるので言えない)
振り返ってみるとやっぱり番匠さんがいい味だしてる。
キャラクターには作者の性格が反映されるといいますが、実は杉浦さんの性格は番匠さんに近いんじゃないかと勝手に妄想して楽しんでいます。 - ★★★ Excellent!!!極端な個性が交錯して放たれる、煌めく青春のスパーク!
エピローグ二話を残した時点でのレビューになります。
ストーリーの中心は、主人公の想太が想いを寄せる卓球部部長の門脇さんに頼まれて、とある事件をきっかけに退部してしまった「全中四天王」と呼ばれた四人の部活復帰への交渉を請け負うというものです。
タイトルどおり、登場人物の(本来の意味で)ユニークな個性が絡み合い、部活復帰に向けての駆け引きや、卓球での勝負、ひいては過去の事件の裏側という部分にまで四人の性格が影響してきます。
極端なせっかち、自己中心的すぎる真面目、計算高い嘘つき、観察眼の鋭い黒幕という四人のキャラクターは、じゃんけんの手のようにお互いに得手不得手があり、卓球の技だけでなく勝敗…続きを読む