卓球部で発生した謎の事件。
思いやりと信念とが複雑に交錯した、そんな謎を巡る青春物語。
などと一言で括るにはまだ早い。本作の魅力はとにかく卓球!
三つ巴。今やゲームに於いて得手不得手として当たり前に見かける美しい図形。
この頂点を四つにしたとき、誰しも破たんを思い浮かべるのではないだろうか。
そんな言葉に、ちょっとでも興味を持った方は是非とも読んでみて欲しい。
必ず、この見事な結晶に唸りを上げることだろう。
そして、どの個性も魅力的で、おしキャラを決めるために頭を抱えることだろう。
四人が揃った時の感動と、その絶妙な掛け合いはずっと聞き続けていたいほど。
ファミレスで駄弁る四人の姿、そんなものを密かに思い浮かべつつ、今夜はニヤニヤしながら眠ることにします。
女子卓球部を舞台にした部活もの。中学卓球界で活躍していた全中四天王。しかし彼女らはトラブルがあり部活を辞めてしまう。主人公の渡部くんは彼らを部活に戻すため奮闘するが――。
ラブコメチックに物語ははじまり、次々と少年マンガに出てきそうな能力をもった個性的なキャラクターたちがでてきます。
お話は部活内の人間ドラマというか部活内でおきた事件を解決するというちょっとした謎解き要素も入っていて、設定も練られており、最後まで目が離せませんでした。
ラノベにありがちなテンプレ美少女はいませんが皆が皆自分らしさ、個性をもっていて、ちょっとした描写にも現れています。そしてそれが物語の主題に上手く絡んでいて良かったです。
卓球はバランスが大事。
そんなことをテレビか何かで聞いた覚えがあります。
バランス感覚が優れている人が強い。
それは、小説も同じです。
ではこの小説はどうなのか?
片想いの相手の頼みを聞いて奔走する主人公の男の子と、個性的な凄腕卓球プレーヤーの女の子とのバランス。
そんな彼女たちの性格や個性と、卓球のプレイスタイルのバランス。
物語で描かれる、青春的な葛藤と卓球というスポーツの面白さのバランス。
そのどれもが絶妙で、読者を物語中に引きずり込みます。
なにより、部員の女の子たちの関係性が既存の小説とはひと味違います。
部活を題材にした小説だと、仲間との絆だったり友情だったり、そういった要素や、応援が力になる!みたいなアツい展開が多いイメージがあります。
(そういうのも私は大好きですが……)
しかしこの作品では、そのような展開は(まだ)ありません。
あるのは、強くありたいと思う強固な意思と、お互いの実力に関しての信頼関係だけです。
でも、こういうのもイイじゃん!
だって読んでて面白かったし!
そんなわけで、この作品は私に新しい発見をもたらしてくれました。
今までの青春スポーツ小説の枠組みにとらわれず、個性を極めた少女たちの渾身の一打を、ぜひ受けてみてください!
日常ミステリを現代ドラマで描いたら、理想型はこんな風になるかもしれない。
日常と事件をつなぐ媒介項。
その中心にあるのは人間と人間の〈関係性〉だ。
中学時代に"四天王"と呼ばれた卓球部の部員たちが、
上級生との対立により退部してしまった。
彼らを部活につれもどしてほしい――。
そんな依頼を受け、主人公は動き始める。
四人のキャラクターはどれも個性的で、魅力に満ち、
それぞれの特性をそれぞれの特性が補完するようにできている。
また、魅力的だと思ったのは、ちょっとした少女の描写が非常にリアルなこと。
「制服の中にパーカーを着込み、ブレザーの襟からフードを出した女子高生」とか。
ヴィヴィッドに浮き上がってきます。
本書は、非常に丁寧に練り上げられた一作です。
一個一個、部品を丁寧に組み上げていくように、物語を紡いでいく様が、切実な何かを感じさせました。
オリンピックで卓球のすごさが認知されたいま、
多くの人に読んで貰いたい一作です。
そういった意味でも旬な題材かもしれません。
個人的に刺さった台詞。
「先輩たちはね、強くなりたいというよりも、
北総高校卓球部というのに憧れていただけなの。
ただ単純に強い組織に所属して、強くなったと
錯覚したかっただけなのかもしれない」
ここまで主人公が身を挺して空気になる現代ドラマがあっただろうか?
主役とヒロイン以外のアクが強すぎ、やられたい放題である。
実は有能な主人公は部活動のマネージャー的な役割に徹してなんとか目的を達成しようとする。
下心があるにせよ、傍から見てもかなり頑張っている。
しかしそれすらも……(ネタバレになるので言えない)
そして最後は……(ネタバレになるので言えない)
振り返ってみるとやっぱり番匠さんがいい味だしてる。
キャラクターには作者の性格が反映されるといいますが、実は杉浦さんの性格は番匠さんに近いんじゃないかと勝手に妄想して楽しんでいます。
エピローグ二話を残した時点でのレビューになります。
ストーリーの中心は、主人公の想太が想いを寄せる卓球部部長の門脇さんに頼まれて、とある事件をきっかけに退部してしまった「全中四天王」と呼ばれた四人の部活復帰への交渉を請け負うというものです。
タイトルどおり、登場人物の(本来の意味で)ユニークな個性が絡み合い、部活復帰に向けての駆け引きや、卓球での勝負、ひいては過去の事件の裏側という部分にまで四人の性格が影響してきます。
極端なせっかち、自己中心的すぎる真面目、計算高い嘘つき、観察眼の鋭い黒幕という四人のキャラクターは、じゃんけんの手のようにお互いに得手不得手があり、卓球の技だけでなく勝敗にも影響しています。
卓球を通してその関係性を見るのも面白いのですが、復帰交渉時の絡みやファミレスでの話し合いのときにも個性がいかんなく発揮され、想太が振り回される様子が面白い!
卓球を詳しく知らなくても、その技や攻守の多彩さを楽しみながら彼らの騒動の顛末を追うことができます。
皆さまにぜひおすすめしたい作品です。
以前読んだときは第二部の途中までしか投稿されていなかったのですが、気づけば第四部に突入していて、やべっ、たまってる、と思い読み進めております。
せっかくだからもう一回最初から読み直して今は第三部が読み終わりました。
スマッシュ、カット、ドライブまではなんとなく予想しておりましたが、あと一つは何だ!? と思っていたところに、ブロックときたか! と深夜にもかかわらず発狂したのもつい先日の話です笑
スポコンによる青春と恋愛要素からくる青春のハイブリッド。
読み始めた当初は、なんだ、卓球か……となめたことを考えていた自分をぶっ飛ばしてやりたりです。
そろそろ物語も終盤。盛り上がること間違いなしということで、これは絶対に見逃せない!!
最新17話まで読んでの感想です。
卓球をテーマにしたこの物語、主人公の僕が大好きな門脇さん(卓球部部長)に頼まれ、部を辞めてしまった伝説的な技をもつ4人の少女を説得し、全国大会目指して部に復帰させようと頑張る話です。
一言で言ってとにかく面白い。スポーツものや冒険ものは仲間集めが特に楽しく感じるものですが、この四人の少女、強烈な個性を持っており、さらにその個性を生かしたプレースタイルなのです。一人が出てくるたびに、どんどんテンションが上がってきます。
さらにこの4人なんともややこしい奴らで、主人公も含めてとにかく周りを翻弄していきます。そのトホホな感じが、また面白くて、本来うらやましいはずの主人公に同情したくなってきます。このあたりがまた、一人称で書かれているため、実に楽しく読めるのです。
現在は最後の一人が登場したところですが、さらなる展開・混乱が待ち受けているのが分かるだけに、ハラハラします。
とにもかくにも楽しい物語です。しかもクライマックスはこれから。ぜひ今から追いかけてほしいと思います!
第11話まで拝読しました。
先にカテゴライズしてしまうと、小細工ナシの青春卓球ストーリーで、いわゆる部活モノの系譜に連なる作品ですね。
もっとも、一個のスポーツを扱いながら、個人的には場面によって二面的な読み味が出て来る印象があります。
まず、卓球という競技自体に関して描かれているシーンには、あたかも少年漫画のような熱さと論理的な戦術解説がある。
一方で、その部活を巡る人間関係が描かれているシーンには、さながら少女漫画のような濃い目の心理描写があるように感じられるのです。
登場キャラの配置については、男子主人公でありつつ、物語を彩るのが複数の女子卓球部員たちなので、一見するとハーレム構造です(※逆説的になってしまいますが、心理描写に少女漫画的な雰囲気を感じるのは、女子キャラの葛藤が主人公の目を通して、類推的に描かれるシーンが多いためかもしれません)。
――が、物語の志向性自体は、前述通り「少年漫画的バトル(スポーツ)+少女漫画的人間描写のハイブリッド」に近いため、ベースに恋愛要素はあるものの、時に痛々しいほど真っ向勝負の青春ドラマになっていると感じました。
卓球を題材にした女の子がいっぱい出て来るお話だからって、油断してはいけません。
真っ直ぐな青春スポーツドラマがお好きな方、是非ご一読を!