個性を極めた少女たちの青春卓球物語

卓球はバランスが大事。
そんなことをテレビか何かで聞いた覚えがあります。
バランス感覚が優れている人が強い。
それは、小説も同じです。

ではこの小説はどうなのか?
片想いの相手の頼みを聞いて奔走する主人公の男の子と、個性的な凄腕卓球プレーヤーの女の子とのバランス。
そんな彼女たちの性格や個性と、卓球のプレイスタイルのバランス。
物語で描かれる、青春的な葛藤と卓球というスポーツの面白さのバランス。

そのどれもが絶妙で、読者を物語中に引きずり込みます。
なにより、部員の女の子たちの関係性が既存の小説とはひと味違います。

部活を題材にした小説だと、仲間との絆だったり友情だったり、そういった要素や、応援が力になる!みたいなアツい展開が多いイメージがあります。
(そういうのも私は大好きですが……)

しかしこの作品では、そのような展開は(まだ)ありません。
あるのは、強くありたいと思う強固な意思と、お互いの実力に関しての信頼関係だけです。

でも、こういうのもイイじゃん!
だって読んでて面白かったし!
そんなわけで、この作品は私に新しい発見をもたらしてくれました。
今までの青春スポーツ小説の枠組みにとらわれず、個性を極めた少女たちの渾身の一打を、ぜひ受けてみてください!


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