概要
ある日、日本各地に「魔界の入り口」が出現した。
これに対応するため、そして「ダンジョン利権」によって地元経済を潤すために、長野県長野市役所は「ダンジョン課」を設立。
「特能者」である主人公のダンジョン課職員・荒須イサナは、その「能力」を使い、業務に勤しむ。
市が進める「ダンジョン産業開発計画」へ介入する中央行政や国会議員、そして謎の少女と新たな敵たち。
魔物よりも先に戦う相手だらけの中で、イサナはある事実に直面することになる――
漫画原作小説コンテスト参加作品です。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ダンジョンの奥で蠢くのは――陰謀と利権と思惑!
漫画原作コンテスト最終選考に今さらレビューだけど――そこはご愛嬌!!
本作は日本各地に突如として『ダンジョン』が現れた以後の世界を描く物語で、具体的にはダンジョンを管轄する役所の職員が奮闘する物語だ。もちろん、こんな突飛な場所を扱うのだから、集まってくる職員も個性的な奴らばかりで、その軽妙でコミカルなやり取りがおもしろい。
漫画原作と言うこともあって、テンポよく人間ドラマとアクションシーンが進行していき、短い中に凝縮された物語が詰まっている。
僕が一番おもしろく読んだのは、『ダンジョン』と言うファンタジーを現実に落とし込む際の辻褄合わせの部分。ファンタジーにリアリティを持たせる嘘がとても…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ダンジョンは今や利権の最前線
役所務めの公務員とひとくちに言ってもかなり色々な部署があるわけで、彼ら彼女らが具体的にどんな仕事をしているのかはっきりとイメージを持っている民間の人はそんなに多くないのではないだろうか。
本作は「魔界の入り口」が発生した日本では行政がいかなる行動を取るかを題材としたシミュレーション作品である。
とりわけ面白いのは、ダンジョンから現れた魔物に対して警察や自衛隊が対抗するという方向性ではなく、ダンジョンをある種の観光資源とみなし、地方経済の活性化のためさまざまな企画によって運用していこうというところである。
ダンジョンという物理的な市民に対する脅威すら政治にとっては利権であり、衆議院議員の先…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その異能の力は何のためにあるのか?
今作の長野市役所ダンジョン課に勤める主人公・荒須イサナは「魔神の拳」と呼ばれる異能を持った特能者である。
本来備わっているものとは別の、その巨大な腕は、ダンジョンのモンスターたちをものともしない。
ミノタウロスが振り下ろす大斧を軽々と受け止め、逆にモンスターたちを圧倒する様は余裕すら感じる。
しかし、それ故かどこか冷めたところがあるように感じるのが個人的にはあまり好きになれなかった。
作中でもある人物が「どうしてその力はもっと有効活用しない!?」と憤っているが、自分ももっと「この力でダンジョンの脅威から長野市民を俺が護る!」みたいな熱さが欲しいなと思った。
が、実際のところ、彼は冷めている…続きを読む - ★★★ Excellent!!!仕事ですから、ダンジョンくらい探索しますよ!
タイトルから「県庁おもてなし課」をぼんやり頭に浮かべながら読み進めたのですが、……まあ面白い!
糠床からはじまりファブリーズで締めた1話めからして大変魅力的だったのですが、ダンジョン利権やら行政法人・魔界技術開発公社やら、出てくるワードがもう楽しくて楽しくて(笑)最後まで一気読み余裕でした。
他の方もレビューに書いておられましたが、ダンジョンというテーマを取り扱っていながらにして、本作は至極真っ向からのお仕事小説です。
それと同時に、地域愛にあふれた物語でもあります。
要所要所で地域ネタを織り込んでくれるところも大変ツボでした。おやき美味しいですよね!
エッセイで地域ネタは時…続きを読む