第35話 夫の爆笑日本語 うには外
LAでは空港のそばに住んでいた。エルセグンドという治安があまり良くない場所だった。アパートメントはゲートがついていて、住民以外は入れないようになっていた。夜はあまり出かけず、アパート内のプールに行ったり、家で映画を見たりしていた。
ある夜、皆が居間に集まっていた時。
夫は(さきいか)を食べていた。息子も夫も大好きなサキイカ。
これ2人共、さけイカだと思っていた。
「さきいか、だよ。さけじゃなくて」。
夫と息子「ええ~??お酒を飲みながら食べるから(さけいか)だと思ってた」。
こういうのはすごく納得できる。 確かに~! そのほうが良かったのに~と。
日本語の変化がむずかし~っと言っている。
たとえば本は1冊、お皿は1枚、鉛筆は1本とか、なんで変わるのかと。
変わるのはわかるとして、いっぽん、にほん。とはなぜ発音が変わるのかと。
「猫の数え方は?匹?そうなんだ。 じゃあいちひき、にひき、さんひき?」
「違う違う、いっぴきって発音するんだよ」
「へ~じゃあ、にっぴき?」「ちが~う。にひき」
「じゃあ、さんひき?」ちが~う。そしてなんでと怒ってる。
この前まで時間の1分、2分も 2ぷん?って聞いてた。
変えなくても良いのに。 もう2ぷんにしちゃえばいいのに。
全部ぷん、で。5ぷん。とか。
それから別の日に息子が石像の話をはじめた。
「Gargoyle(ガーゴイル:教会の屋根などにある怪獣の形の彫像)って、日本語でなんていうの?」
「なんだろうね、石像でいいんじゃない? 名前ないよね?」(後で調べたらヒハシというそうだ。)
「あれは、悪い物を追いはらうのに怖い形なんだよね?そういう悪いものは……」
その時、夫は自信満々に
「それは、うに!」
「それ…おに……ブ……うにいい~~~ぶわっはっはっは~~!!鬼をうに~」
いつまでも笑う私を悔しそうに見つめる夫。
「地獄にいるうに~あはは!」
「桃太郎はどこに行ったの?ええ?うにを退治にうにヶ島?ぎゃはは」
しばらく笑いといじめは止まらず。悔しそうな夫。でもこれはおもしろすぎる。
それから家族でLAのダウンタウンに行った時のこと。
ダウンタウンのコリアタウンにかかる時にハングルの看板を見て夫は
「あ!ここカンゴク!!」
……韓国だよ。
監獄じゃないよ、点々つけちゃったよ。
大爆笑な車中
「監獄って~~惜しい~~けど惜しくない~~!!それプリズンぎゃはは!!」
夫は「もう日本語話さない!!」なんて言ってましたけど、5分後に
「さっきの言葉なんだっけ? カンゴフだよね?」
今度は真ん中に点々つけちゃったよ。看護婦じゃないよ。
「それナース!きゃはは」
韓国から監獄、看護婦。 うう~~ん、惜しすぎる。そして面白すぎる。
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