第14話 赤ちゃん日米共通
結婚して日本に家を借り、その後基地の中の家に引っ越した。そこで妊娠して出産、子育てをした。
日米では子育ての方法はかなり違った。2人で相談しながら臨機応変にどちらもとり入れてきた。けんかにもなった。
例えばアメリカは赤ちゃんと夫婦の部屋は別にする。私は断固(川の字)の日本式子育てにこだわった。部屋に1人ぼっちでドアを閉めるなんて考えられない。お昼寝はベビーサークルで、モニターで声が聞こえるようにしていた。
夫は救命士そして心配性。ありとあわゆる危険防止グッズを買い込んでいた。
アメリカのベッドはかなり床から高いので、夫が起きた後はサークルなどで転落防止の柵もつけていた。
子育ての方法はかなり違うけど、赤ちゃんの行動はほぼ同じだろうと思う。今日は息子が1歳前後の赤ちゃんの時のことを書く。
6ヶ月くらいまでは泣く、おっぱい、寝る、出す、の繰り返しだと思うが、その後(自我の芽生え)要するに知恵がつき好奇心が生まれてきて、親にとっては(いたづら)が始まりる。
ある日リビングで
「あ!!あ!!や!!や!!よ~~~!!」
と言いながらシュッシュ、シュッシュとティッシュを箱から出していた。
ひらりひらりと舞うティッシュ。 一枚ずつ丁寧に
「あ!」シュ!「や!」シュ!「ホ~~!」シュ!
山になっていくティッシュ。
あはは…きれいだねえ。
これはやらせておいた。次のお仕事は絵のついた紙だ。
お財布を掴み、中のお札を
「あ!」シュ!
「それは、やめて!!」
なぜ(白い紙)は良くて(絵のついた紙)は駄目なのか分らない息子、大泣きだ。
絶対にやりたい息子。ある日また超早いハイハイで私の財布を盗み、座ってばら撒き始めた。
「あ!」シュ!「えい!」シュ!「……あり?」
2枚ほど撒いた所で不思議そうにお財布を見つめた。。息子よ、(絵のついた紙)はあんまり入ってないのだよ。
つまらなかったのか、この日からやらなくなった。学んだんだね?
こうやって大人になっていくんだね?
ちなみに紙ばら撒きは進化していった。ある日、本棚の文庫本に目をつけた。表紙を1枚1枚はがしながら、本と表紙を床に捨てていた。アメリカの本には表紙がないが、日本の本には(皮)が付いていることを学んでしまった息子。
根を詰めて作業する姿は職人のよう。座り込み一冊取り出し、皮をむいては後ろへポイ。また一冊取り出し、皮をむいては後ろへポイ。
途中で、「ふー」っと大きなため息まで。
危険じゃないものは気が済むまでやらせた。お金は不潔でもあるし、親にとって捨てられたりしたら危険なので取り上げだ。
仕事に満足するとまた猛スピードハイハイで次の仕事場へ。ものすごく働き者だ。
基地の家は古いのだが、かなり広くて目が行き届かない。キッチンで料理するときはおんぶしたり、イスに縛り付けて、いえ、ベビーチェアーに座らせていたが、このくらいの年齢からは本人は猛烈に拒否する。えびぞる。
なので、キッチンの下の方の引き出しにわざとタッパーばかり入れて足元で遊ばせておいた。
直ぐ側で料理しながら後ろを見るとタッパーを出すお仕事。うん、いいね。
出す、並べる、しまう。出す、並べる、しまう。
飽きるので時々入れ替える。プラスチックのもう使わないフライ返しなど。
ある日ペタンと床に座って、また作業に没頭していましたので安心して料理をしていた。ほんの数分で振り返ると…
高く積みあがった缶詰タワーが揺れていた。違う扉を開けて缶詰を取り出し、積む。 どんどん積む。
自分の背丈くらいになり、ゆらありゆらり。アメリカの缶詰はかなり大きいので危ないのでこれは取り上げ。
アメリカ人の友達の娘さんはやはり1歳ごろトイレ中の壁にナプキンの裏のシールをはがし張ったそうだ。
壁一面の白いナプキン羽根つき。根を詰めたね、立体のシールだね、楽しいね。
モダンアート?
親はぎゃーーっと叫んだ後、大笑いして友人に楽しそうに話していた。
どの国でもお母さんは大変だ。悩んだり手探りで子育てをしている。そして、赤ちゃんの可愛さも世界共通だと思う。
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