第33話  宣誓式でアメリカ人になった日



5月の試験の後1ヵ月半後。


2010年 6月23日 水曜日 

宣誓式がLAコンベンションセンターで行われた。


私は午後の部。 

それでもこの同じ時にアメリカ人になった人はここだけで2650人!

午前の部もあるので、その倍の人がこの日アメリカ人になった。


駐車場から、すでに長い人の波。 センターの外では証書を入れるバインダーを外で5ドルで売っていた。


入り口も中も長い列。 付き添いも入れて約4000人の人人……

ドアの両側で「こちらが市民権!」「こっちが付き添いの人!」とどなっていて圧倒された。


夫は強面デカの試験管の勧めで軍服を着て行くと、会場の係りの方が私たちを見かけるや否や、サッと飛んできてくれて中央の赤いカーペットの上をエスコートしてくれた。

まだ両方の入り口では長蛇の列なのに。そしてなんと舞台の一番前の席へ。 軍の専用席だった。

すっごく特別に扱ってくれて感動した。コワモテデカ!ありがとう。


式典が始まり、いろいろな人のご挨拶中で感動したのは「皆さんは自分の国を捨てたわけではないのです。これからは2つの国を背負うのです」というもので、新しいアメリカ人たちもワーッと大拍手。


ものすごい盛り上がりでロックコンサートのようだ。ハデだな、アメリカ。

国歌斉唱から誓いの言葉まで、あっという間だった気がする。

誓いの言葉の後に

「これで皆さんは今日からアメリカ国民です」

「わ~~~」とミニアメリカ国旗を振りまわし、大歓声の中セレモニーは終了した。


誓いの言葉が終わって始めて(アメリカ人)になるのだ。

式典の後、証明書をもらえる。 

そのさいに永住権グリーンカードをゴミ箱のようなところにポイ!っと入れられたのが衝撃だった。 ああ~あれも苦労したのに~と。しかも最近書き換えたばかりで3万くらいがポイッと。いや~~。


始まる前は複雑な気持ちだったのに、終わったら嬉しくて胸がいっぱいに…。


意識が変わった瞬間でした。外国人からこの国の人間へ。


でもけっして日本を捨てたわけじゃなく、日本の心をもったままのアメリカ人。

息子にもきちんと文化や言葉を受け継いで欲しいと思っています。


私の2つの国。


生まれて育ててくれた日本。受け入れてくれたアメリカ。

ありがとう、日本。 ありがとう、アメリカ。


とても強くなったような不思議な気持ちになった。



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