第28話 チーンと鳴らすあれ
ハワイにはよく夫ママが遊びに来てくれた。 クリスマスやお正月を一緒に過ごすことが多かった。
私が乳がんに罹り、まだ闘病中だった頃にクリスマスに来てくれた。
いつもたくさんプレゼントを持って。
「これはチベットで使われていて、病気を治してくれるんだって!!あなたの為に探して買ってきたのよ!」
「え?そんなのあるの?わあ、ありがとう」
と袋を開けた出てきた物は仏壇にあるチーンと鳴らす金属でできたボウル。
チ~~ン
ついてた(棒)もおいてあった(座布団)も同じだ。
マム、これ、絶対に違う……
「お店の人がチベットの病気を治すヒーリングだって言ったのよ、CDも買ってきたのよ」
CDはなんと延々チーン、チーン、チーン、時々チリリーン。
ええええ~?なんか騙されてるっぽい。
説明した。
「これはね、日本では亡くなった人のために仏壇というものを置くんだけど、お線香をあげるときにチーンってならすの、これ全く同じものだと思う」
「え~!亡くなった人のためのもの…」
「あなたの病気を治すために探したのよ、で開けたら、これ~!」
ちょっと、シーンとなった後、爆発的大爆笑になった。
「ごめんごめん、知らなかった~知らないわよお!でもルーツはそこから来ているのかもしれないよね」
「そうかも、魂を癒すような感じになったのかな?」
調べてみないとわからない。正式名称は(鈴 りん)というそうだ。
Googleで(お仏壇でチーンと鳴らすもの)と皆さん検索してた。良かった、知らないのは私だけかと思ってた。
CDがあまりにも延々チーンチーンと鳴ってて、しかもそれを気に入ってかけるので、やめて~と。
夫ママはアジアの怪しい感じのお店が大好きで、奇妙なスカーフやインセンスもよく買っていた。
そしてなぜか私や母に(日本風の変なもの)を買ってくれる。
私の母(日本人)にサムライと書かれた侍の絵のついた手提げバッグとか。
「いや~!なにこれ!!」と母はよく叫んでいた。今考えると夫のスケロクTシャツのセンスは遺伝だ。
お仏壇といえば、夫も日本食材店で
「この花綺麗だから買おうか~」と花束を手にとった、
「ちょっと、それ、違う!お仏壇用…」
「え~わからなかった!白と黄色の菊が入っていて綺麗だなと思ったんだ!」
確かにわからない。日本人だから菊イコールお仏壇のイメージだけど、外国の人にはそういうイメージはないと思う。
日本食材店にはお盆の時期はこういうお花やお供えのお菓子も売ってた。
一番驚いたのは、知人だ。
お仏壇を収納用に、しかもワイン入れにしている人がいた。
「こんなに良い家具が捨ててあった拾ったんだ!」って。え~~~!!
確かにお仏壇は両開きの扉がついてる、小さい家具。
説明したけど、気にしないよだって。別に~って感じで。知らなければいいのかな?こういう感覚はわからない。
それから驚いたのは(墓場)のイメージは怖いとか暗いではなくて楽しい場所なんだそうだ。
「楽しい~イメージ??なんで~~」
「芝生があって綺麗だし、子供が遊んだりするよ」
何年アメリカに住んでいてもびっくりすることはまだ出てくる。
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