第24話 アメリカ給食事情



 倒れてベッドから起きられなかった時、息子はびしょびしょに濡らしたタオルを額に乗せてくれてくれた。

ほとんど絞っていないタオルで水が垂れてくる。それからコップにジュースをついでくれた。表面張力突破寸前までついでいるので、バッシャバシャと豪快にこぼしながら持ってきてくれた。


「首に~枕に~垂れる水が気持ち悪い~」と思いながらも、その気持が嬉しくて

「ありがとう、すぐ治っちゃうよ!」と言うと、さらにぬいぐるみを2つ持ってきて私の両脇においてポンポンと軽く叩いてくた。そして、当時アイダホ生活で日本語が怪しくなっていた息子は

「だいぼうじゅよ、だいぼーじゅ」(翻訳 大丈夫よ、大丈夫)と言ってくれた。


もっと小さい頃に息子が熱を出した時に私がしていたことだった。意外と覚えているものだ。それからポエムまで書いてくれて、それは今でも大事に額に入れて飾ってある。


 2回めの基地の中の暮らしはシングルマザー状態も多く、こうやって倒れたりもしたが、楽しい日々でもあった。

小学校1年生の息子にお父さんのいない寂しさを味あわせたくないと思い、映画に連れて行ったり、日曜日はブランチに連れて行ったりした。

なので、息子のこの頃の記憶は楽しいものが多かった。


学校も日本人ハーフの子どもたちが多くて、とても喜んでいた。 日本文化のクラスもあったり、先生が少し日本語を教えてくれたり、なによりお弁当でおにぎりを持ってきている子どもたちがいてすごく嬉しそうだった。

アイダホでおにぎりを持っていた時に「なんじゃそれ??」「おえ~!」とと何人にも言われたていた。アメリカ人の子どもたちの定番はピーナッツバターとジャムを塗ったサンドイッチにリンゴやミニニンジンが申し訳程度についている。

行った学校全部、お弁当でもカフェテリアで注文しても、どちらでも良かった。

アメリカの給食はカフェテリア形式で、日替わりでメインのハンバーガーやホットドック。チーズマカロニやビーンズのサイドをトレーに乗せる。

日本では「嫌い、食べられない」という食材を無理に食べさせたら、アレルギーがあって…と言う事件もあった。私も苦手なものを食べられなくて遅くまで残された記憶がある。


アメリカで驚いたのは嫌いなものは食べなくても良いということだ。ある子供は中のホットドッグのソーセージだけ食べて、パンもサイドもザーッとゴミ箱に捨てていた。

大量に捨てられる食べ物を見て、自由な国とはいえ、これはこれで間違っているのではと思う。


そして、なぜこんなことを知っているかというと、ボランティアをしていたこともあるが、親もカフェで子どもたちと同じものを食べる事ができたからだ。確か当時、子供の給食は一日1ドルくらいで親が来て食べる場合は3ドルだった。

これはマウンテンホームの幼稚園でもそうで、夫も行ったことがある。どんなものを食べているのか親としては知りたい。 いつも数人親がきて一緒に食べていた。 


ちなみに味はとってもまずかった。


なんでも「おいしい」と食べる夫でも「これはまずい~」というお味。 

だめでしょ!幼稚園でそれは。

なので、お弁当を作る日もありましたが、ランチャブルといってクラッカーとハムとチーズがセットになっているものもよく持って行った。こういうのを(手抜き)といわれないのはアメリカの良いところだ。


それから朝食があったのも良かった。働くお母さんは早めに子供を学校に連れていって、子供は朝食をそこで食べる。これはもしかしたら軍人ママも多かった、基地内の学校だったからかもしれない。

毎日のようにボランティアをして子供の様子を見られたのはとても良かったと思う。

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