第11話 おけけ


夫は英語の文法のまま、日本語にしてしまうことも多い。

例えば、英語では必ず最後につける言葉も日本語ではおかしかったり、英語で同じ言い方なのに日本語はたくさん種類がある。


ある日突然また面白いこと言い出した。


「この、人、かっこいい!! かわいい、!!かわいい、!!」


「なによ、かわいい、!!って?」


「Cute tooだよ。 Too!!」


「日本は最後に()つけないんだよ」


「なんでよ?」


「なんで!」


「あ~~~!!、って言った! 、って言った!」


「その()は、その()じゃないの!」


「じゃあ、その()はどの()? 」


わかんないよ。


やっとTooは最後につけないとわかったようだが、しばらく忘れて使っていた。


「おいしい、!」

「高い、!」


いきなり付け足される(も!!)はかなり面白い。


日本語のスラングも落とし穴がいっぱいある。

子供が小さかった時、目はおめめ。 手はおてて。と言っていた。


「おてて、洗おうね」なんていうふうに。

なので、夫も


「おめめ赤いよ、ねーむいねー」なんていう風に使っていた。


そして、ある日息子の髪が乱れているのを見た夫は大きい声で


「おけけが!おけけが!!!」


夫よ、それは違う方の毛だな。


「おけけは、アンダーヘアーのことだよ」


「な!なんで??」


かわいい赤ちゃん言葉が、なぜにいやらしく変化していったのか。夫はどうしても納得行かないのであった。

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