楽しいアメリッジ 国際変な家族のおかしい話
タミィ・M
第一部 出会い
第1話 出会い
プロローグ
外国人だった夫と結婚して28年も経ってた。今や同じ国のニンゲンだ。
アメリカ人とのマリッジ アメリッジ
最初は慣れない言葉と土地そして風習に苦労した。
今から考えたら笑えるおかしいことばかりだ。
辛く悲しいこともあったけれど、時間がたてば良い思い出にかわっていく。
今でもお互いの国の言葉が完全に理解できていない。しょっちゅう間違えては笑いあってる。
本当はかっちょ悪い国際結婚をセキララに綴っていこうと思う。
。。。。。。。。
夫との出会いは関東にある在日基地の中だった。
当時英会話教室で英語を習っていた私に、友人が基地のアメリカ人を紹介してくれた。
「本物の英語が聞けるチャンスだから、友達としてでも付き合ってみれば?」と。
その人が夫になる人ではなく、初フレンドだ。イタリア系のいかにもなニューヨーカーだった。初アメリカ人フレンドに大興奮だった。紹介されて、早速基地の中に遊びに行ってみた。
初めて聞く生のオール英語。頭がガンガンした。紹介してもらった人は、すごく短気な人だった。「素敵な生アメリカ初フレンド」は実は「何人関係なく嫌味で怒りっぽい最低な男」だった。
仲間の前で「俺の日本人の彼女」とか言ってる。ガールフレンドて!そのくらいわかる。NO!と言うとムッとしていた。そして「オレ、日本語話せるんだぜ」と良いところ見せようと、時々日本語でなにか言ってくるが、全くわからない。全然わからない。そしてわからない顔をするとムッとする。
ある日、日本の話をしている時に
「You know《しってるよね》ボーノードーリー」と叫んだ
「……ええ???ドードー鳥?」
「No!! ボォーノォドォーリィィ~~!!」そして英語で
「日本人なら誰でも知ってる!!わからないおまえはおかしい」と怒られた。
何十回もボーノドリ!!ボーノドーリ!!と叫びながら手を頭の上で振りまわしている。
どう見てもドードー鳥の物まねだ。
一緒にいたルームメイトの男性ががすたすたと歩いて来て
「盆踊り」と言って去っていった。
「ああ盆踊りかあ!」その友達はスペイン系ですごく日本語の発音がうまかった。硬い発音が特にうまく、日本で覚えた「バカ」と「チンチン」の発音は基地一だった。
ボーノドリさんはすっかり、おかんむりだ。
Bon-odoriのBonのNと次のOがくっついて(ノ)という発音になる。アメリカ英語では良くあるので、今ならピンとくるかもしれないが、当時は想像もできなかった。踊りも全く盆踊りじゃなかった。
短気な初フレンド、ボーノ鳥のせいでアメリカ人を嫌いになりかけていた。英語で会話がしたいだけなのに英語が理解できないと怒られ、日本語が通じないとこれまた怒る。もう遊びに来るのをやめようと思っていた。
少々疲れて独身寮のコミュニティールームに座っていると
「こんにちわあ」と日本語で話しかけ優しく笑ってくれた身体の大きい男性がいた。フレンドリーな良い人でいつもにこにこ笑っていた。これが夫となる人との出会いだった。
最低なドードー男の後に知り合ったので、ものすごく優しい良い人に見えた。
体が大きくひげを生やしていて40歳くらいに見えた。後で20代だと聞いて腰抜かした。
何度か友人も一緒にグループで出かけた。図体のでかい40歳。でも思いやりがあるその人にどんどん惹かれていった。
数人の日米グループでピクニックに行ったり、山に行ったりしてグループでは楽しかった日々。でもボーノドリはますます独占欲が出てきて縛り付けようとしていた。
「もう夜遅い、俺は明日早いから泊まっていってくれ」と言うので
「NO!!絶対にダメ!何時になっても帰らないと!」と深夜の大げんか。
大和撫子の貞操の大ピンチ。その時にお休みだった(のちの)夫は1人でリクレーションルームでテレビを見ていた。深夜だったけど当時夜勤だったので起きていたのだ。
「あ、じゃあ僕が送っていくよ」
「そうしてくれ!俺は朝が早いんだ」それはもう聞いたとぷりぷりしながら車に乗り、丁寧にお礼を言って送ってもらったのだった。
家についてThank youと玄関の前に立ちバイバイと手を振る。
車が出る時に見送るのが礼儀の日本人。
家に入るのを見届けるのが礼儀なアメリカ人。
玄関前で立ち尽くす私。
車の中で微動だにしない夫。
――立ってる私。
――待ってる夫。
いつまでもいつまでもお互い動かない。 数分たち、やっと「なにか変だ」と気が付いた。
車から顔を出して「かーぎー?かーぎー?」と言うので、何だろうと思っていたら自分のキーを見せて「かーぎ?」と首をかしげます。
「鍵を持っていなくて家に入れないの?」だと言っていたのだと思う。
それでやっと(文化の違い)に気が付いた。
大きな体で小さい日本の車にぎちぎちに座り「かーぎ?」と首を傾げている心優しい人に惹かれていったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます