第32話 特別機動部隊 “漆黒の鷹”
親にはまったく歯が立たなかったが、分裂し増殖した
ナーティとぬえ、五条を襲っていた子疫鬼は
一方ベクは、子疫鬼がかぶさるようにして襲いかかってきていたため、降ってきた蛇はすべて子疫鬼の身体に食らいついていた。そのまま蛇が消滅するとともに、子疫鬼は金色に輝いたまま倒れた。ベクは口から泡を吹き、失神した。
穴の中で座り込んでいる親疫鬼は唸り声をあげた。ゆっくりと細長い脚を開き、立ち上がろうとしている。
「まずいなあ、このまま動き出して町に出られたら」
「こちら第三方面特機隊“
「あぁ、ご苦労さん! 待ってたよぅ。今どこかなあ」
「現在、
藪鮫はちらりと天を仰ぐ。
「ただ強烈な結界がその辺りを包んでおりますので、我々では対処できません。いったいどなたがそんな結界を張られているのでしょうか」
そうか、この結界がある限り、妖物が外へ出ることはできないかわりに、外部から手も出せないんだっけ。藪鮫は苦笑する。
「うん、ここには
出現した疫鬼はこの結界から出ることができないから、なんとかやってみるねえ」
特別機動部隊とは、完全武装した
「彼らがバックアップしてくれるなら安心だな。さあって、それじゃあやっちゃうとしましょうか」
立ち上がった疫鬼に、藪鮫は涼しげな瞳を向けた。
つづく
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