第37話 ナーティの猛攻
「チョットォ、きりがないわ、こやつ!」
ナーティと
ナーティはすべてを打ち払い、斬り込みながら突きを入れる。一本の尾が鞭のように空気を裂き、ナーティの頬をかすめる。
「乙女の大切な顔を狙うなんてっ、ワタクシ、もうブチ切れたわ!」
ナーティはすでに体力を相当消耗していたが、アドレナリンが大量に分泌されたらしく、疲労困憊していた肉体にパワーがみなぎった。
疫鬼の尾数本が土煙を上げて地中へもぐりこんだ。先ほど
「そうはいかないわよ、この骸骨野郎!」
ナーティの研ぎ澄まされた剣士の感覚が、足元の微妙な振動を捉える。バシャッ! 土くれを巻き上げて尾が地中からもの凄い勢いで突きだされた。「フンッ」ナーティは気合を発し、宙に跳ぶ。
着地するそばから続けざまに鋭い尾が地中から攻撃してきた。ステップを軽やかに踏み、すべてかわす。ところが一本の尾がナーティをすり抜けて土に横たわったままの藪鮫に向かった。
「しまったっ」
ナーティは振り向き叫んだ。
バシッ!
鋭利な槍となった尾が藪鮫の背中に食い込む瞬間、トンファーを回転させてぬえがそれを弾いた。
「お、おばあさまーっ」
「オカマさんやぁ、イッちゃんはこのわしが守るでなっ。存分にそやつの相手をしてたもれや!」
ぬえは疫鬼の魂胆を察知し、リンメイの元から跳んできたのだ。
「ありがたいわ。市さまのような殿方を亡き者にしようだなって、天がお許しになってもこのワタクシが許しませんことよ」
ナーティの太い唇が吊り上った。白刃をきらめかせて、ナーティの猛攻が始まった。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます