天命刹歌 第27話 揺らぎ、揺れる。

概念レベルで光が存在しえないはずの回廊には3つの色があった。

その灯火は魂、ハードレベルからソフトレベルへの変換。

世界の物理層を超えた一行は、その出口へと運ばれていく。


観測は終わらない。

魂は運ばれて出口へとたどり着いた。

その場所は全てが虚構。


虚数の狭間、深淵の楼閣。

存在しないが故に存在する機構。


いわゆる、戦闘パートである。


「防衛システムの発動を検知、これ以上の介入は無理そうね」

ネットワークがシャットダウンされ全機能がスタンドアローンに動き始める。

彼女はシステム的なリソース管理のための情報閲覧権限を持ってはいる。

しかし実際にそれをシミュレートする機能は備えていない。

干渉は一時的に警戒リソースをさりげなく反らすくらい。

役割分担された歯車は無力であった。


「あとはデータクリスタルが繋がれるのを待つ」

何よりもデータに自立する知能は手を組む。

それが気休めにもならないと知っていて。

それは人工である以上有り得ないものであった。


「頼みましたよ、主の娘」


———不明な敵を検知しました、これより迎撃プログラムの実行を開始します。

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