天命刹歌 第12話 褐色アルビノっ子の考察

……おなかすいた。

正午、今日も、正確には、この世界に昼夜という概念はあっても、

時間という設定はなされていないのだけれど。

太陽が一番高いからそう呼んでる。

創造主にエネルギーを出してもらう。


捕食を行いながら、創造主の緋い眼でこの世界を見る。

とても不思議な世界だと思う。

始めの世界、未だ連れていってくれないが、知識としては知っている。

そこから切り出されたこの高天原は、法則や術理が微妙に異なっているらしい。

それを修正して、表面上だけでもまともに仕上げている。

この高天原は、有限な3次元リソースを拡張しない強制力が働いている。

明確な果ての先には、万物の根源ともいえるだろうカオスが渦巻いている、らしい。

壁で仕切られているので、直接見たことはないのだが。

しかし、この世界には特徴的なシステムが存在する。

莫大な4次元以上のリソースが集約しているのだ。

これでは高次元存在、つまりは私たちのような神がカオスから溢れ出てくるだろう。

高天原、高い次元の圧縮された草原。

この足元に生える草は、現状私の支配下にある。

太陽と月光を吸収するのに都合がいいのだ。

もともと、機構を再現しただけのものだったらしい。

この草原から得られるエネルギーで、私の活動に必要な半分のリソースを賄える。

無論、創造主と天使という管理者に許可はとった。

草が少しづつ枯れていくことに目をつむれば、しばらく捕食はいらないのだが。


創造主の作り出した私たちは完全ではない。

偶然なのだと自嘲していたけれど、私はそうは思わない。

創造主はカミサマとしての力を無意識に使いこなしている。

今捕食を行っている神力リソースを境界障壁として構築する。

これだけでも、十分に使いこなしていることの証左である。

加えて、無自覚に周辺環境を整えていく。

現在も、この高天原は最適化され続けている。

世界の改変は、創造主の役割ではない。

そう、本来ならばそんなことをできる存在ではないのに。


レコードに記録されているユニバース全てにおいて、この創造主は異端だ。

でも、それら全てを勘で片づけるのは流石にナンセンスだと思う。


第1次レコード情報集積プログラム宛発信文書

担当、秋白 緋葉

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