天命刹歌 第25話 緋色の葉

私は、生まれ持った役割なんてない。

産まれたことが、創造主の言うようにただの偶然なのだとしたら。


私は、何のためにこの世界に生まれてきたのだろう。

意味を論じることが、有意義であるとは思えないが。

それでも、考えてしまう。


彼女は、自分の役割を超えて、成そうとしていることが有る。

空っぽな私には、何も持たない私には。

思わず、妬いてしまうくらいに輝いて見えた。


自分の役割すら、未だにわかっていないのに。

ただ、生きているだけのワタシは。

そんな権利がどこにあるのだろう。


思考を打ち切る。どうやっても、現実に。

彼女は、その先へ到達しているのだから。

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