天命刹歌 第13話 帰還
還る、光が空に溶け行く。
何度やっても慣れない、自分が世界に再構築される感覚。
集う世界の弱点、自分そのものが世界の綻びとなる。
そういう意味では、自浄作用が発動したということ。
もしかして結構な大事だったのかもしれない。
「まあ、今考えても意味なきことか」
右手に握る桜花を高天原に開放する。
「創造主、下手」
「創造主、雑」
ジト目で不満を露わにする金銀の双子。
「う、すまん、制御がまだ上手くいかない」
莫大なエネルギーを内包する桜花は、じゃじゃ馬よりも暴れ馬だ。
「使ってくれたからいい」
「次はうまく使ってほしい」
双子はそう言ったきり沈黙した。
「ああ、気を付ける」
——高速飛翔体を検知、警戒を推奨。
「ん?なんだ」
空、昇る太陽に背を向けて、何かがやってくる。
「……おお、天使よ」
その姿は天使である。
空の色よりさらに蒼く輝き、鳥の翼より遥かに優雅。
翼持つ天の使い。どこまでも神聖な光景が広がる。
しかし、気のせいか、後ろに修羅が見える。
「どこ行っていたのですか、探したんですよ!」
その心配の言葉から始まる説教。
何も言わずに飛び出したのは事実である。
後ろめたさから、甘んじて受け入れた。
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