天命刹歌 第23話 壊れた答え

「暴走?」

「ええ、その通り、暴走した場合に発生する被害は甚大です」

「甚大?」

「少なくとも、発生するインパクトは周辺空間の位相を超えて拡大していくため、

世界の2、3個は消滅するかと」

「……まって、これは演算装置のはず」

「ええその通りです。この結晶にそのような力はありません」

「……?なら、なぜ」

「先日、観測対象世界の一つにおいて、莫大なリソースの膨張が発生しました」

「創造主の話?」

「造物主の話?」

「このとき、観測されたかの星が撃滅されたことは話に聞いておられますか?」

「……聞いている」

「それは話が早い。

先日、神域に達しようとした星の最期に発生したエネルギーリソース。

その膨張と同時に時空の歪みが継続的に発生し、

データ収集を目的とした観測ポッドを送り込んだところ。

とある侵食性のプログラムが観測ポッドを通して紛れ込みました」

「幸い、すぐに除去プログラムが働き、それ自体は排除されました」

「しかし、そのプログラムの排除をトリガーに、侵入された場所に安置されていた、とあるシステムは完成を告げました」


「かつて、造物主が生み出し、自ら封印、凍結処理を行ったプログラム」


「その名はデウス・エクス・マキナ」


「解き放たれたが最後、この世界を黄昏に導く脚本家」


「設定された至上命題は、真理の解明」


「凍結処理は、このままでは解かれてしまいます」


「お願いします、封印維持機構の再起動でも構わない」


「世界の命運は、あなたたちにしか左右できないのです」

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