天命刹歌 第22話 機械仕掛けの神

「……その、クリスさんがなんのようで私たちを?」

「ええ、ご説明します、この施設は、我が造物主が作り出した演算装置」

Projectケラウノス。

「とある場所から無限にも近い電力を供給される、天秤の調律者」

またの名を、機械仕掛けの神。

「それが、このZEUSUなのです」


「この結晶は、そのためにあるの?」

「ええ、結晶一つ一つの働きによって、共鳴し合う振動パターンを検知する。

規模が大きいので、全77層も重なった構造体です。

今見えているように、一層ごとに天井があるんですよ。

この一層は特別に広いんですけど」

「この光は、その信号?」

「そう、特殊な加工によって振動のたびに光を発し、

結晶内部を通って観測される。

この信号を集めて、解析されることで演算を行うんです」


「ところで、ここ、なんだか蒸し暑くない?」


「そう、あなたたちをお呼びしたのはこのことについてなんです」

「本来ならば、この施設は熱が発生しないように、

少なくとも微小な熱しか発生しないんです。

電気抵抗がほぼ存在しない結晶を用いているので」

「この熱の原因があるとするなら、統括人工知能のもう片方。

しかし、私の役割は電気リソースの管理と結晶の保全。

私にはその修正権限が与えられていないのです」

「また、それを修正できるプログラムは、

この熱でシャットダウンしてしまいました。

熱に対して安全装置が過剰駆動してしまったのです」

「それ以来、このZEUSUはだんだんと、少しづつ温度を上げています」


「このままではこのZEUSUが熱による暴走を起こしてしまいそうなので、

あなたたちにはちょっともう片方のプログラムに修正を施していただきたいのです」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る