天命刹歌 第26話 箱庭

それは、箱庭。

命を封じた箱。


悠久に満ちることなく、観測されるセカイ。


「回廊、奇妙な場所」

箱庭を延々と並べた回廊。

「世界の疑似再現場、?」

世界そのものを疑似的に創生し、破壊し、分岐させ、余すところなく記録する。

「再現?」

「顕現?」

特に大きなその一つに刻まれし記録文章。

世界の名でもあるそれを読み上げる。

「ラ・プラスの実証?何のことかわからない」

原子一つに至るまで、素粒子一つに至るまで、すべてを把握し、演算する。

神の実証実験、不在証明もその一つ。

永久に等しい期間の記録。

生きとし生けるものはそれを予言のように錯覚する。

「「ああ、予言」」

声を揃えて納得する。

「未来予知のこと?」

似て非なるもの。

「事象の連続性」

「万象の不確定性」

曖昧模糊とした言葉の説明。

「?、まあいい、先に進もう」

「意義不明」

「意味不明」

言語化不可の証を示し、追従する。


先、その行き止まり。

「扉?」

「絵?」

「幻?」

入口の揺らぎは変わらない。

「とりあえず触ればわかること」

「「あ」」

揺らぎの中に吸い込まれる。

双子は慌てて追いかけた。

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