概要
精霊と人はともにあったが、人は万物に精霊が宿ることを知らずに生きていた。
精霊には数多の王がおり、その王を統べるは六人の帝王。帝王を統べるは三柱の神。
おすすめレビュー
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- ★ Good!天命と想いが描く、壮大であたたかな幻想画
人間はそうと知らずとも天命や精霊、神が実在し、人間の醜さが弱者を虐げているという、決して奇抜でも華やかでもない設定や世界観、展開の物語です。ですがそれは、そんなものは不要だから。読み進めるほどに、シンプルでありながら重厚、幻想的でありながら生者の息遣いが感じられる世界の中に引き込まれていきます。
ある意味ではありきたりな世界の在りようはすぐ馴染んでしまうのに、与えられた天命のもと、愛や居場所を求めてさまよう人間や精霊たちの想いと生きざまが、こんなに飾り気のない文章と展開であっても存在感を放つのは、ただ見事の一言。ハイファンタジーとはかくあるべし、ですね。
幻想的な世界での人間と精霊た…続きを読む - ★★★ Excellent!!!精霊と人。それぞれが自らの生きる道に迷い、苦悩する。
万物にはそれを司る精霊が宿るという、アミニズム、あるいは八百万の神の思想にも似た世界観のなかで綴られる物語です。
本来人には見えないはずの精霊を見、その声を聞くことができる少女ナディアは、その能力ゆえに迫害されて育ちます。両親からも疎まれ、捨てられたも同然の扱いで預けられた施設から逃げ出すところから、ナディアの本当の「生」が始まります。
自分はなんのために生まれ、なんのために生きるのか。悩みを抱えるのは、ナディアだけではありません。人とは違う力を持ち、特殊なさだめに縛られる精霊たちもまた、人間同様苦悩し、そして死んでいくのです。
壮大な世界観と重厚なテーマ性を持つこの作品ですが、文章…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少女は愛される運命にある
この物語の凄まじいところは、伏線が後々になって回収されることだろう。
序盤はまさしくタイトル通りに精霊が主軸となる。そして人間という生き物について考えさせられる。だが決して精霊だけのお話しではないことを理解して頂きたい。
中盤からの怒濤の展開。だが話のテーマはぶれずにすべてが始まりと繋がるのだ。
そしてこの作品を読む方々はお話に登場する『闇』を見落とさないで欲しい。この作品においてそれは侮辱だ。
ファンタジーに登場する闇ではない。そんな一言では語り尽くせない。
闇には意思があり、それ故に美しい。
これらはすべて私の主観であるが、ハッキリしていることは一つある。
どんな形であ…続きを読む