北西 時雨

先月からツチノコと同棲を始めた。 ▢高校文芸部誌三年冬号掲載作品

アメリカのUnited Onion社が開発した、人から人（もの）へ、目で見てわかる形で愛を伝えられる「愛情チャージャー」。彼女は僕が夜にたくさん送った愛を、いつも翌朝、シナモンに…

【カクヨムコン５特別賞受賞＆2021/03/18書籍発売！】 29歳。 結婚秒読みだと思っていたわたしに、同棲中の恋人が衝撃的な告白をする。 「もうひとり、彼女ができたんだ」 そ…

昭和初期。母と死別した士族の少年は、新しい母様に懐けないでいた。そんな折、屋敷で同居していた女学生に「姉様」と呼ぶように言われて―― 「いいよ、お前にも姉様をやるよ。はんぶんこ…

私は五十枚近くある見合い写真を見て溜息をついた。 このどれかと結婚をして子供を作る。それがこの家においての私の存在意義だ。 『妻を殺してもバレない確率』の妻サイドです。 『妻を…

誰も悪意はないけど、こういうことも起こり得るんじゃないかなぁ……というお話です。

単澤一馬がいじめに関心を持ったのは、一人息子の自殺が切っ掛けだった。無類の奇人として、要注意人物扱いの単澤は、別れた妻と暮していた息子が、学校でのいじめを苦に首を吊ったと言われて…

僕は最近、10分ほど早起きをして地下鉄に乗る。 いつもの通勤ルートより少しだけ遠回りして、彼女が出てくる駅の出口を通るために。 彼女に会えたら、僕は必ず彼女の右手を見る。 彼女の…

奴が現れたのは、雲の多い満月の夜……。

男は河原で壺を拾った。つい持ち帰ったそれを眺めながら、男は「壷中天あり」の妄想を膨らませ、空想の世界に遊ぶのだが―― 大正・昭和の筆致で描く、和の一人称心理ホラー。 ----…

ある日、彼女は公園で妙な生き物を拾ってきた。僕らはそれをシロと名付けた。

大学生、聡文を呼び出したのは、幼い頃の夏限定の幼なじみからの手紙だった。深夜の月光館で語られる、甘く切ない犯罪の軌跡。

街に現れた、占いを１００％「はずす」占い師のお婆さん。 「私」はそのお婆さんの能力を活かして、一攫千金を試みる。 お婆さんを利用していたつもりが、いつの間にか――。 お婆さんの…

希望と現実は、また別のもの。 望んだ物とは違う現実が目の前にあるとき、人は妄想に逃げる。

心地の良い朝。見知らぬ少女が家にいた。 心あたたまるハートフルストーリーに見せかけた驚愕の（自分で言うかよ）ミステリー！

ニューヨークで探偵業を営む池田戦の元に一人の女性が舞い込んだ。 彼女は昨晩起きた殺人事件の犯人を暴いてくれと依頼する。 一見して単純な事件であるように思えたそれは、奇妙な状況、奇…

政府によって高齢者の「定年」が定められた時代―― ７０歳になった高齢者は、「老齢ビザ」を取得していない限り、それ以上生きることは許されない。 しかし、老齢ビザを取得できるのは、…

お題は「チョコレート」です

ふたりは腹が減っていた。よろよろになった二人の先にある一軒の不思議なお店。そこで繰り広げられるのはすこしふしぎなものがたり。 「注文の多い料理店」を100%リスペクトしたテ…

クイズ番組の司会者が、宇宙最強の帝王と戦うお話です。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　…

初めて出会ったときから、高校三年生の今までずっと一緒に過ごしていた二人。 だけど、大学進学がきっかけで、離れ離れになることに。 「行かないで」も、「好き」という言葉も素直に言えな…

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実の代わりに本が生（な）る不思議な木。 その「本の木」と「私」の奇妙な一晩。 すごく短い掌編です。

旅客機で客に医者はいないかと探す客室乗務員。無事見付かるが。（同作やリメイク版は、他サイトでも公開しています。）

４月は出会いと別れの季節。 良い出会いもあれば、悪い出会いもある。 友人がネズミになった時、あなたならどんな反応をしますか？ この話は決して他人事ではありません。 ＊この…

最近の「子供の描いた絵」は凄いことになっている。私はそのことを「母の日」に実感した。「母の日」が終わってしまった皆様の場合、次にそのことに気がつくのは「父の日」になるだろう。但し…

落書きや放置ごみに対処するため、清掃ナノロボットが開発されたが、それがとんでもないことになってしまった。 ＊「小説家になろう」に投稿しています（名義：naro_naro）。 ＊…

その国には死刑よりも重いと言われる刑があった。内容も正式名称も一切不明。ただ、「女の子と一緒に過ごす刑」という俗称を付けられているという極刑である。 ある時、とある男が殺人の容…

町中に不法投棄される「あいしてる」の数は年々増加の一途をたどっています。 「あいしてる」の投棄は犯罪です。不燃物になりますので、ご不要になった「あいしてる」はご自分の墓までお持ち…

※KADOKAWA刊「5分で読書　驚愕のミライ」に収録されています。 書籍版は若い読者向けにわかりやすく改稿したものになります。 https://www.kadokawa.co.…

日本文学史に名を残す「あの男」。知られざる彼の秘密を不真面目に解き明かす。

　先輩から譲り受けた赤本で過去問対策をしていた僕は、先輩が落書きとして書き残したと思われる棒人間を発見する。彼（＝棒人間）は徐に僕に話しかける。 「俺はもとは実世界の人間。お前と…

「私より先に死んでください」 　それが、私と結婚する彼女が提示した唯一の条件だった。 　普通、こういうものは「私より先に死なないでください」と言うのじゃなかろうかと思い、そ…

すべてはおちんぽのためだった

　結婚三年目。子供なし。 　ホワイトデーどころか結婚記念日すらも忘れる夫。 　かつて思い描いていた「奥さん」や「お母さん」の姿とは程遠い私。 　幸せって、何だろう？

「ウワーッ！履歴書が襲ってくる！」 「破ァ！」Tさんがシュレッダーのスイッチを入れると、空中を飛ぶ履歴書達はたちまち投入口に吸い込まれていく。 「これは……手書き履歴書に込められ…

１話完結、好きなお話からどうぞ！　原稿用紙１枚、400文字以内で完結するショートショート集です。姉妹編140字ショートショートも連載中です。 【書籍　第２弾発売のお知らせ】 『…

お気に入りのブログ。写真に言葉が添えられているだけの、誰が書いているかも知らない空間。 インターネットの発達した今だからこそある、『出会う事のない物語』。あなたもきっと、体験した…

その日、男子校に一輪の花が咲いた。 親友、陸がなぜかセーラー服を着て登校してきたのだ。 そんなある日、陸が他校の男子と仲良くデートをしているところがスクープされてしまう！

魔術書店の店員の私を口説いた魔法使い。 彼は黒猫の姿になって、私のベッドに潜り込んでくる。