完成された作品。文体がとても綺麗で読みやすかったです。昭和初期頃の和風奇譚といった感じです。外と中って人間が定義したもので、実際にはどこが外でどこが中なのか分からないですよね。扉を閉めきった家の中にどこか安心安全を感じるのは分かります。外への道が遮断されているのが、目が届く範囲になることで安心できる。そういった意味では壷の中というのも・・・
明治から昭和初期を連想させる、独特な雰囲気のホラー。日常が消失していく描写がとても上手いと思いました。
読了。ごちそうさま
読みやすかったです。個人的には京極夏彦氏の文章を思い出しました。滑らかで、動きがあって、主人公が少し閉じているところも。寝る前に布団の中で読みたいような掌編でした。まさかカクヨムでこのような作品と出会えるとは……、裾野の広さにびっくり。ピンからキリまで揃っているんだなぁ。小説を探すのがますます楽しくなる出会いでした。
懐かしくも読みやすい文体で、作者の造詣の深さがひしひしと伝わります。物書き一年生としてとても勉強になります。まるでモノクロームのようなレトロや世界観が感じられて、読んでいて想像力が大いに掻き立てられました。
一度読む。ふーん面白い。しばらくすると、また思い出して読んでしまう。ふーんますます面白い。そしてまた……段々と魂が壺に吸い取られていく。早く、蓋をしなきゃ。あれ?蓋はどこにいった?
中国の故事をもとに書かれた短編。作者の力量に敬服しました。時代考証に基づく選び抜かれた言葉や台詞、そして物語の終局においての疾走感がすばらしい。眠れない夜、眠りに落ちる前に読み返したくなる短編があります。たとえば、漱石の夢十夜や倉橋由美子の怪奇掌編。この一編もそんなくり返し読まれる質を持った作品です。