「幻想異郷小説」を含む小説

鄙びたその地にましませる聖き御山のふもとには、東と西に分たれたる対の小国が根付いている。 東領の領主の血を継ぐ瞠（みはれ）は、『獣返りの子』と呼ばれる異形である。 たとえ一族の…

神殿に飼われる亜人シラユキは、ある年の冬、赴任してきた皇子ワカヒによりその身を救われ、大切にされる温もりを知る。しかし、冬祭にて豊穣をもたらす獣の役目を負った彼女は、祭儀により声…

北方の少数民族・ラゴ族を率いるサウレリは、烏翠国（うすいこく）との紛争のさなか、烏翠の王族かつ使者である弦朗君（げんろうくん）に出会う。互いに敵対する立場であり、対照的な外貌と性…

「行け。行って、そなたの雪獅子に出逢え」―― 翡翠色の内海に浮かぶ常春の島で、「織姫」としてたいせつに育てられてきた藤世（とよ）は、浜辺で白銀の短剣を拾う。その夜から夢路に現れる…

水底に抱かれ眠るうつくしい女に、少年は供物として捧げられた。 『山神の娘』と呼ばれる、異形の血を引く末裔の女――蝶。 蝶の『供物』たる少年、夜杜。 繰り返される言葉の、結ばれ…

父さんは死んでしまった。――厳寒の森が広がる地、トナカイ放牧と狩猟で生きるちいさな家族。行ってしまった少女と、白き聖なるトナカイのお話。

砂漠を渡る行商人ファルハが出会ったのは、亡霊を探す少年だった。少年にかかった呪いを解くため、ふたりは月夜の沙漠を目指し旅に出るーー

忍びの任務で傷ついた朧は一晩の宿を探し、一軒の民家を見つける。そこには玄武国では珍しい金髪の少年ヒサギがいた。とあることをきっかけに、朧とヒサギの里での生活が始まる。 時代劇風・…

君がやって来たのは、月が美しく輝く夜だった――。竹取物語をモチーフにした静かな物語。

長編中華風ファンタジー『翠浪の白馬、蒼穹の真珠』外伝。『翠浪』終盤を別の角度から描く。 レツィンと趙敏（ちょうびん）がその運命を引き受けたとき、彼等の主君であった弦朗君（げんろう…

龍が駆け、鳳凰が舞う空の下での物語。 辺境の北方部族の姫君レツィンは、活発で武芸に秀でた娘。 彼女は部族と「烏翠（うすい）」国との盟約により、国都の瑞慶府（ずいけいふ）に送られる…

償いの旅の途中、薬師の深（しん）と山彦鳥と呼ばれる喋る鳥――縁（えにし）が山の中で彷徨った先に出会ったのは、天邪鬼に取りつかれた少女――与依（よい）だった。 村でも持て余されてい…

雷火を纏う乙女に、かれは言った。 ――抜き身の剣は美しいが、すぐに傷む。 乙女は答えた。 ――ではそなたが、剣身を護る鞘となれ。 かれは額づき、乙女に忠誠を誓う。命果てるまで、と…

砂に覆われた国があった。空は失われ、人はマスクとゴーグルで体を守り細々と生きた。 内海に浮かぶ島があった。鬼たちは伝承を守り、陸に住むヒトと戦った。 あめつちをまもるもの。ひと…

　ある辺境国にて、王の三女である恵玲公主（けいれいこうしゅ）は、実は両親の悩みの種。出生時に占い師から「その運命を読むことができない」と宣告されたばかりか、幼い頃から不可思議な能…

曄国に滅亡の時が訪れた。北戎の将軍・猛爾元（もうじげん）は赤く染まる城下を眺め、過去に思いを馳せる。己の運命を左右した皇帝・張傑との日々を――。 ※男性同士の性的な関係の示唆、…

遊牧民カラ・アットの少年キジルは生贄の白鹿を狩った褒美に曄国にて行われる『天還祭』に招待される。彼はそこで姫神子・ユェとであう……。

死者が向かうとされる三瀬川の河原。 そこに留まる小姫と渡し守の、柔らかで悲しい繭のひととき。

セフィーはアルビノとして生まれたがために化け物と呼ばれて生きてきた。 社会になじめないセフィーにできることといったら、真っ白な自分を物珍しさで買う男たち相手にからだを売ることだけ…

十年に一度の、うたまつり。歌で妖怪を封じる能力を持つ一族の少女と、彼女が出逢った青年の物語。 pixivより転載。 主催者：遊び心様の自主企画 https://kakuyom…